【国語】和歌 『万葉集』で「長歌・反歌・東歌・防人歌」について知ろう!

皆さん、『万葉集』はご存知でしょうか?
とても有名ですよね!
万葉集には、たくさんの和歌がつまっています。

今回は、いくつも和歌を現代語訳しながら、万葉集特有の「長歌・反歌・東歌・防人歌」について解説します。
1つでも分からない言葉があった方は、ぜひ復習にご活用下さい!
お時間がない方は、【まとめ】から各用語の意味を確認できますので、閲覧ください。

目次

1.『万葉集』とは

さて早速ですが、まずは『万葉集』について見ていきましょう!

テストによくでる!『万葉集』のポイント

  • 成立時代:奈良時代
  • ジャンル:和歌集
  • 現存する最古の和歌集
  • 全20巻、約4500首
  • 作者は天皇、歌人、農民など身分に関係なく、様々な人の歌が入っている
  • 万葉仮名で書いてある
  • 気取らず、素直に心を表した、力強い歌が多い → ますらをぶり

では、実際に万葉集で詠まれた和歌を見ていきましょう!

2.『万葉集』の和歌①

 いくつか和歌を紹介していきます!

『万葉集』巻第三 雑歌 柿本朝臣人麿歌一種

原文

近江の海

夕波千鳥

汝が鳴けば

心もしのに

古 思ほゆ

現代語訳

近江の海(琵琶湖)の、

夕方の波の上を飛ぶ千鳥たちよ。

あなた達が鳴くと、

私の心はしおれて、

昔を思い出すよ。

【ポイント】「古」とは?

「古」は柿本人麻呂が子供のころを思い出して言っているわけではありません。
「古」は昔の天皇が治めていた時代のことです。(ここでは、天智天皇)
その時代はよかったなあと、しみじみと昔を思い出しているんです。

『万葉集』巻第五 雑歌 (山上憶良が子供たちを思って詠んだ歌)

原文

銀も

金も玉も

何せむに

まされる宝

子にしかめもや

現代語訳

銀も

金も宝石も

どうしたら、

優れた宝になるだろうか。

子どもという宝には及ばない。

【ポイント】 どんな思いが込められている?

子どもの大切さを詠んでいます。
和歌の前半では、3つもの宝石について話していますが、最終的には子どもに勝るものはないと締めくくっています。

『万葉集』巻第四 相聞  額田王、近江天皇を思びて作る歌一首

原文

君待つと

吾が恋ひをれば

我が屋戸の

すだれ動かし

秋の風吹く

現代語訳

あなたが来るのを待って、

私が恋しく思っていると

私の家の

すだれを動かして

秋の風が吹いてくる

【ポイント】 この歌は何を言いたいの?

これは恋の気持ちを詠んでいます。題名にある「相聞(そうもん)」とは恋の歌であるという意味です。

  • 私の心も、すだれのように、恋する気持ちでゆれています
  • すだれを動かしたのは、あなただと思ったのに、秋風か…

 という恋する気持ち2つを詠んでいます。
自分のゆれる恋心をすだれにかさねています。
また、家の戸がゆれたので、恋の相手が来たと期待したが、秋風の仕業だったと描いています。

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3.『万葉集』の和歌②

今回はパート2として、 長歌を紹介します。
前述の和歌とは少し雰囲気が変わるので、見ていきましょう!

『万葉集』巻第三 雑歌(山部赤人が富士山を見て詠んだ歌)

原文

天地の 分かれし時ゆ 神さびて

高く貴き 駿河なる 富士の高嶺を

天の原 ふりさけ見れば 渡る日の

の隠ろひ 照る月の 光も見えず

白雲も い行きはばかり

時じくそ雪は降りける 語りつぎ

言ひつぎ行かむ 富士の高嶺は

現代語訳

天地が分かれた時から

神々しく高く貴い駿河にある富士の高い山を

空に仰いで見てみると(空を)渡る太陽の

も隠れ(空に)輝く月の光も見えない。

白い雲も前に進めなくなり

いつも雪が降り積もっている。語り聞かせ

語り継いでいこう、富士の高い山を。

この長歌の後には、長歌の説明を加えたり、短くまとめたりする和歌が続きます。
これを、「反歌」といいます。

反歌 (山部赤人)

原文

田子の浦

打ち出でて見れば

真白にそ

富士の高嶺に

雪は降りける

現代語訳

田子の浦を通って

(見晴らしの良い場所に)出てみると

真っ白に

富士の高い山に

雪が降っていることだよ

『万葉集』巻第十四 相聞  武蔵野国の歌

原文

多摩川に

さらす手作り

さらさらに

何そこの

ここだかなしき

現代語訳

多摩川に

さらす手作りの布。その「さら」ではないが、

さらさらに

どうしてこの

こんなに愛しいのだろうか。

【ポイント】 どこで詠まれた歌?

「多摩川」という地名が書いてあるので、関東だということが分かりますね。
このように東で詠まれた歌は、「東歌」と言います。

『万葉集』巻第二十

原文

父母が

頭かきなで

幸くあれて

言ひし言葉ぜ

忘れかねつる

現代語訳

父と母が

(私の)頭をなでて

「無事にいなさい」と

言った言葉が

忘れられない

【ポイント】 この歌は何を言いたいの?

旅立ちの時に詠んだ歌です。
また、これは防人(さきもり)の歌といいます。
防人という仕事に就いた人やその家族が詠んだ歌のことです。
防人とは、九州を守るお仕事です。九州以外からも兵隊が集められ、外国の敵から守るお仕事をします。

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4. まとめ

現代語訳や新たな用語がでてきて混乱している方もいらっしゃると思いますので、ここでまとめをします!
今回絶対覚えてほしいのは、『万葉集』特有の和歌の種類です。
下記の4つを絶対に覚えましょう!!

  • 長歌5・7・5・7と何回か繰返し、最後は7・7と結ぶ和歌
  • 反歌:長歌の後に続く和歌で、長歌をまとめたり、内容を補足したりする役割を持つ和歌のこと
  • 東歌関東で詠まれた歌
  • 防人歌:防人という九州での仕事に就いた人やその家族が詠んだ歌のこと
この記事を書いた人
趣味:お城巡り

学習アドバイザー 広田

関西大学大学院を卒業後、小6・中3・高3の受験生を主に指導をしてきました。学生の悩み相談を受けているうちに勉強に悩む子を救ってあげたいという気持ちが強まり学習アドバイザーとなりました。勉強に悩む保護者さまやお子さんにお役に立てる記事を配信していければと思います。
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