【国語】和歌 『古今和歌集』『新古今和歌集』
皆さん、『古今和歌集』『新古今和歌集』はご存知でしょうか?
とても有名ですよね!
今回は、その和歌集の基本情報や重要語句を、和歌の現代語訳とともに解説します!
和歌に慣れて、その面白さを知れますよ!
1.『古今和歌集』とは
さて早速ですが、まずは『古今和歌集』について見ていきましょう!
テストによくでる!『古今和歌集』のポイント
- 成立時代:平安時代
- ジャンル:和歌集
- 最初の勅撰和歌集
- 序文は「仮名序」と呼ばれる
- 命令したのは醍醐天皇
- 紀貫之他、歌人が選んだ
- 全20巻、約1100首
- 和歌と言ってもほぼ短歌
- 繊細な歌が多い
- →「たをやめぶり」(女性らしい繊細さを表現した言葉)
有名人物の紀貫之についても軽く説明します!
紀貫之(きのつらゆき)
- 漢詩を作るのが得意
- 字が上手
- 能楽に有名なエピソードがある
- 『土佐日記』を書いた
では、実際に和歌を見ていきましょう!
2.『古今和歌集』の和歌
いくつか和歌を紹介していきます!
まずは、有名な紀貫之です!
『古今和歌集』春歌上
原文
初瀬に詣づるごとに、宿りける人の家に、
久しく宿らで、程経てのちに、いたりければ、
かの家のあるじ、
「かくさだかになむ宿りはある」
と、言ひいだして侍りければ、
そこにたてりける梅の花を折りてよめる
紀貫之
人はいさ
心も知らず
ふるさとは
花ぞ昔の
香ににほひける
現代語訳
長谷寺にお参りするごとに泊まっていた人の家に、
しばらく泊まらず、時間が経った後で、行ってみると、
この家の主人が、
「このように(昔のように)ちゃんと宿はあるよ」
と、言ってよこしたので、
そこに立っていた梅の木の花を折って詠んだ
紀貫之
人(の場合)は、さあどうでしょう、
心もわかりませんが。
なじみのあるこの場所は、
花が昔と変わらず同じように
かおっていますね
【ポイント①】係り結び
この和歌では「係り結び」が使われていたことに気づきましたか?
「花ぞ」の「ぞ」が係助詞で、「ける」という連体形に変わっています。
【ポイント②】二句切れ
この和歌は途中で区切るとしたら、二句目のところで切れます。
これを「二句切れ」といいます。
今回は「心も知らず」で終わっています。
『古今和歌集』秋歌上 秋立つ日よめる 藤原敏行
原文
秋来ぬと
目にはさやかに
見えねども
風の音にぞ
驚かれぬる
現代語訳
秋が来たと、
目にははっきりと
見えないけれど、
風の音に
はっと気付かされた。
【ポイント①】係り結び
この和歌でも「係り結び」が使われていたことに気づきましたか?
「風の音にぞ」の「ぞ」が係助詞で、「ぬる」で終わっています。
【ポイント②】三句切れ
この和歌は途中で区切るとしたら、三句目のところで切れます。
これを「三句切れ」といいます。
今回は「見えねども」で終わっています。
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『古今和歌集』恋歌二 題しらず 小野小町
原文
思ひつつ
寝ればや人の
見えつらむ
夢と知りせば
覚めざらましを
現代語訳
(あなたを)思いながら
寝たから、あなたが
(夢で)見えたのだろう。
夢と知っていたならば、
目覚めなかったのに
【ポイント①】係り結び
この歌の係り結びは、「寝ればや」の「や」が係助詞で、「らむ」が連体形になっています。
『古今和歌集』冬歌 冬の歌とてよめる 源宗于(みなもとのむねゆき)
原文
山里は
冬ぞさびしさ
まさりける
人目も草も
かれぬと思へば
現代語訳
山の中の里は
冬にさびしさが
多くなるんだよ。
人の出入りも、植物も、
「かれた」と思うから。
【ポイント①】係り結び
「冬ぞさびしさ」の「ぞ」が係助詞で、「ける」という連体形で終わっています。
【ポイント②】三句切れ
この和歌は途中で区切るとしたら、三句目のところで切れます。
これを「三句切れ」といいます。
今回は「まさりける」で終わっています。
【ポイント③】掛詞
掛詞は、1つの単語に2つの意味を持たせる和歌の修辞法でしたね。
「かれ」は2つの意味を持っています。
①人目がかれる(人が来るのが少なくなる)
②植物がかれる(植物が枯れる)
をかけています。
人目がかれるの「かれ」は「離れる」という漢字をあてることができます。
3.『新古今和歌集』とは
次は、『新古今和歌集』について見ていきましょう!
テストによくでる!『新古今和歌集』のポイント
- 成立時代:鎌倉時代
- ジャンル:和歌集
- 八番目の勅撰和歌集
- 命令したのは後鳥羽上皇
- 藤原定家たち六人の歌人が選んだ
- 和歌と言っても短歌だけ
- 和歌の余韻を大事にした
- →幽玄(和歌のほめ言葉として使われる)
編者の一人である藤原定家についても軽く説明します!
藤原定家(ていか/さだいえ)
- 『百人一首』の百首を選んだ
- 『明月記』という日記を書き残した
- 古文で書かれた本をたくさん書写して、後の時代に残した
では、実際に和歌を見ていきましょう!
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4.『新古今和歌集』の和歌
では、古今和歌集との違いに注目しながら、和歌を見てきましょう!
『新古今和歌集』夏歌 題知らず 西行法師
原文
道の辺に
清水流るる
柳かげ
しばしとてこそ
立ち止まりつれ
現代語訳
道のそばに
きれいな水が流れている
柳の木のかげで、
「少しだけ」と言って
立ち止まった
【ポイント①】係り結び
「しばしとてこそ」の「こそ」が係助詞で、「つれ」という已然形の文末で終わっています。
『新古今和歌集』秋歌上 西行法師すすめて、百首歌詠ませ はべりけるに 藤原定家
原文
見わたせば
花も紅葉も
なかりけり
浦の苫屋の
秋の夕暮れ
現代語訳
辺りを見渡してみると
(春のような)桜も(秋のような)紅葉も
なかった。
海辺の苫屋だけが見える
そんな秋の夕暮れだ。
秋の寂しさを詠んだ和歌です。
これは実際に作者の藤原定家が海にいるわけではなく、その場面を頭の中で想像して詠んでいます。
『新古今和歌集』恋歌一 百首歌の中に、忍恋を 式子内親王
原文
玉の緒よ
絶えなば絶えね
ながらへば
忍ぶることの
弱りもぞする
現代語訳
私の命よ、
終わるなら終わってしまえ。
長く生きてしまうと、
隠している我慢強さが
弱ってしまうから。
【ポイント①】係り結び
「弱りもぞ」の「ぞ」が係助詞で、「する」という連体形の文末で終わっています。
【ポイント②】二句切れ
この和歌は途中で区切るとしたら、三句目のところで切れます。
これを「三句切れ」といいます。
今回は「まさりける」で終わっています。
今回はたくさんの和歌を紹介しました!
込められた思いや、情景、季節、修辞法などを意識して詠みましょう!