【公民】選挙の概要とその仕組み
日本という国を動かしているのは誰でしょうか?
それは日本国民です。国民が国民の為に国を治めています。このような考え方を民主主義といいます。
日本は民主主義の国で、国民が政治に参加する形を取っているのですが、国民全員がみな政府のお金の使い方を決めたり、外交(他国と交渉すること) をしたりしているわけではありませんね。1億数千万の人間が全員それぞれ違う事を言っていたら何も決めることが出来ません。
なので、国民の中で政治を行う代表者を決めて、その人たちが国を運営するという形をとっています。これを間接民主主義といいました。(別の記事でも解説しています!)
ここで、代表者ってどうやって決めているんだろう?と思うかもしれません。
国民が「代表の候補者のうち1人に投票して代表を決める」という形で政治に参加する制度を選挙といいます。
今回は選挙について詳しく解説していきます!
選挙の概要
選挙とは、組織・団体で、その構成員が代表者や役員を投票などによって選出することを言います。選挙自体は国の代表者(国会議員)を決めるだけでなく、地方自治体の長を決めるときもありますし、会社や団体では、役員を決めるときに行う場合も選挙という事があります。
ただ、今回の場合は国会議員を決めるために投票する事という意味で選挙という言葉を使っていきます!
選挙の四原則
選挙には4つの原則があり、これが守られなければなりません。
その4つとは、
- 普通選挙
- 秘密選挙
- 平等選挙
- 直接選挙
です!
この四つについては、すべて日本国憲法の中で保証されています。
普通選挙
普通選挙とは、各人の財産や身分によらず、ある一定の年齢以上の国民全員に参政権が与えられる選挙の事です。
今では大人全員に当たり前に参政権があるものですが、これは実はここ100年で色々と変わっているのです。
そもそも、1928年より前はある一定額税金を収めた25才以上の男性でないと参政権を持つことが出来ませんでした。お金の有無によって政治に参加できるかどうかが分かれていたのです。
それが1928年に普通選挙法が制定されたことによって、すべての25才以上の男性が参政権を得ることになりました。ただ、このときは女性はお金の有無や年齢によらず、何人も参政権を持つことが出来ませんでした。
女性に参政権が与えられるようになったのは何と第二次世界大戦敗戦直後の1946年の事でした。また、このときに20才以上に参政権が与えらえるようになっています。
そして、現在の18才以上の男女になったのは2015年のことです。
ちなみに、これは公職選挙法という法律によって定められています。(覚えておきましょう!!)
秘密選挙
秘密選挙とは、投票の際に無記名で投票すること選挙のことをいいます。
これが無いと、投票先に自分が誰に投票したのかがばれてしまいますし、そこから「おい、Aに入れろ!」と脅しや不正などが発生してしまう恐れもあり、参政権を脅かすものになってしまう可能性があります。
平等選挙
平等選挙とは、1人1人に与えられる参政権の重さが全員等しくなければいけない、という選挙です。”重み”とは、投票における一票の影響力の大きさと言い換えることが出来ます。
例えば、AさんとBさんの1票には1という重みがあり、Cさんの1票には3という重みがあるとします。ある問題についてAさんとBさんが反対しても、Cさんが賛成に投票すれば、反対2:賛成3で賛成、ということになってしまいます。
これでは、一人ひとりの意見を公平に反映した選挙とは言えないので、こういうことはありません。
ところが、現在の選挙制度では、上のような例とは違いますが、地域によって票の重さの違いが発生してしまっているという問題があります。この問題を一票の格差といいます。詳しくは解説しませんが、興味があったら調べてみて下さい!
直接選挙
直接選挙とは、直接候補者に投票する選挙の事をいいます。候補者であるAさんに投票したい!という人が投票用紙にAさんと書いて投票する、というだけの事です。
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選挙のしくみ
国会議員を決める選挙は公職選挙法という法律の中で詳しく決められています。
そして、選挙区というものが地域ごとに決められていて、各地域に候補者が立候補し、そこから1人または2人以上を選ぶ、という形を取っています。
選挙区制のうち1人が当選する選挙を小選挙区制、2人以上が当選する選挙を大選挙区制といいます。
これとは別に、比例代表制というものがあります。比例代表制とは、自分の支援する政党に投票し、全国で集まった票をまとめて、その割合で各政党から議員を選出するという選挙制度です。
衆議院選挙と参議院選挙
日本には国会という法律や条約、国の予算などを決める議会がありますが、その議会が日本には2つあります。それが衆議院と参議院です。
この衆議院と参議院では、選挙の方式が若干異なりますので、それを紹介します!
衆議院議員選挙
衆議院議員選挙とは衆議院の議員を選出する為の選挙の事です。この選挙では、小選挙区比例代表並立制という制度をとっています。長いので難しそうだと思う人もいると思いますが、要は小選挙区制と比例代表制を両方やる、という事です。
参議院議員選挙
参議院議員選挙とは参議院の議員を選出する為の選挙です。こちらは衆議院のような長い名前の制度があるわけでは無く、選挙区制と比例代表制の両方で決めています。
衆議院の方では小選挙区であったのに、こちらがただの選挙区である理由は、こちらの選挙では一部地域で大選挙区制(一つの選挙区で2人以上が当選する)が行われているからです。多くの地域は衆議院議員選挙と同じく、一つの選挙区あたり1人が当選する小選挙区制が敷かれています。
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選挙と世論
ところで、選挙をするとなった時に、有権者は何を参考に投票する候補者を決めたらいいのでしょうか?
一人ひとりの候補者について、「どんな政策を掲げているのか」「どんな信条の持ち主なのか」「どんな経歴があるのか」など、詳しく調べた上で、自分の考えに最も近い人に投票する、という事を有権者全員が出来れば、国民の主体的な政治参加がされているという事が出来ると思います。
ところが、そんなふうにしっかり調べた上で投票に行く人はごく少数です。
ましてや、自分の考えとは、本当に何事にも影響されずに持っていられるものなのでしょうか。
答えはNoです。
私たちは、マスメディア(テレビ、新聞、ラジオ、ネットニュースなど)やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、住民運動や出版物など様々な要素によって、すべての人々の考え方は何らかの形で影響されて、世論(世間一般の人々の意見)というものが形成されています。
世論に従えば正しい、大勢の人が言っているから正しい、という考え方が本当に正しい場合もあるし、実際は少数派が正しいという場合だってあります。
それらの情報が正しいかどうか検討するのは勿論のこと、情報を多面的・多角的に考えた上で選挙に臨むことが国民に求められています。
中学生で今これを見てくれている方々も、数年後には選挙権が与えられるので、情報の捉え方について今のうちから考えていきましょう!