【公民】企業と生産
前回は家計と消費や、消費者の権利などを学んでいきました。
今回は数多に存在する企業とは何かについて学んでいきたいと思います。
1.企業の種類と株式会社の仕組み
企業は大きく分けて2つの種類があります。
水道やガス、公立病院など、国や地方公共団体が資金を出して公共の目的のために活動する公企業と、利潤を目的とする私企業の2種類があります。
私企業は、農家や個人商店などの個人企業と、複数の人々が資金を出し合って作る法人企業に分けられます。
どんな企業であっても法令を守り、情報を公開することはもちろん、消費者の安全や雇用の確保など、多様な役割を果たすべき「企業の社会的責任」が問われています。
企業を設立して事業を始めるには資金が必要になります。この資金を銀行の融資などから用意できない場合、事業を応援してくれる投資家からお金を集めることがあります。
企業はお金を出してくれた投資家に対し、株式という証明書を発行し、会社の利益の一部を分け与えます。このように株式の発行によって得られた資金を元に設立された会社を株式会社と言います。この時株式を買った出資者は株主と呼ばれ、受け取る利益の一部を配当と言います。
株主になると、企業の経営方針などについて議決を行う株主総会に出席できます。株主が受け取る配当の金額や議決権は株式の数に応じて決まっています。
発行された株式は、人々の間で売買されることがあります。特に一定の条件を満たした企業の株式は証券取引所で売買されます。ここでの売買を通じて株式の価格である株価が決まります。
例えば、ある企業が画期的な商品を開発すると、その企業の利益が増加するのではないかという見方が強まり、多くの人がその企業の株式を買おうとするために株価が上がります。逆に、企業の業績を悪化させそうな出来事が起きると、多くの人が株式を売ろうとするために株価が下がります。
仮に、事業がうまくいかずに株式会社が倒産しても、株主は出資した金額以上の責任は負わないことを有限責任と言います。
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2.現代の企業
近年、企業活動の国際化が進み、複数の国に工場や事務所を置く多国籍企業や世界中に拠点を持つグローバル企業が増えてきています。そのため、海外売上比率が大きくなってきていて他の国々とのつながりが重要になってきています。
一方、安い労働力を求めて、生産拠点の海外転移が進み、国内産業や雇用が衰えてしまう「産業の空洞化」が問題となっています。
資本金や従業員の数が比較的多い企業を大企業といい、比較的少ない企業を中小企業と言います。事業所数でみると大企業の割合は小さいですが、従業員数や生産額になると大きくなります。
日本では数としては中小企業が圧倒的に多く、大企業の下請け企業となっている中小企業も多く存在します。
近年では独自の技術などを元に、新たに事業を起こす「ベンチャー企業」が多く存在し、現在の資本を生み出している会社もベンチャー企業から大企業へと成長したIT関連の会社が多く見られます。
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3.企業の独占、産業構造の変化
1つの企業が生産や販売を支配することを独占と呼び、少数の企業が生産や販売を支配することを寡占と呼びます。
独占や寡占が起こると、企業による価格のコントロールが起き、商品の値段が不当に高くなるなど、消費者の不利益になることがあります。そのため、各国は独占禁止法を制定し、多数の企業が価格や品質の面で競争することで、商品の価格が適切に保たれるようにしています。日本では公正取引委員会が運用に当たっています。
第二次世界大戦後、日本の産業は大きく変化しました。それまで日本の産業の大きな割合を占めていた、農業・林業・水産業などの第一次産業が大きく減少し、代わりに工業などの第二次産業、サービス業などの第三次産業が拡大しました。
近年では第三次産業の割合が多く、約70%を占めます。