【公民】国家と国際社会
前回は国民の生活と福祉について学んでいきました。
今回は、国家と国際社会についてを学んでいきたいと思います。
日本の領土問題や、国際連合の成り立ちなどを説明していきます。
公民、中学校3年生の社会の最後の単元です。
1.主権国家と国際法
国家とは封建社会の解体に伴い16世紀から18世紀にかけて成立した概念です。通常「主権国家」と呼び、世界に約190か国存在し、約75億人の人が暮らしています。
主権国家を形成するものとして以下の3要素が挙げられます。
- 領域
- 人民
- 主権
領域には3つの要素で構成されます。
- 領土(本土がある陸の場所)
- 領海(海域から12海里)※周囲に200海里の排他的経済水域がありますが、領海ではありません。その外側は公海と呼ばれています。
- 領空(領土・領海の上空)
主権国家としての原則として
- 内政不干渉(国内の政治について 他国から支配や干渉されないこと)
- 主権平等(主権国家の権利は 国どうしで対等であること)
があります。その他、国際社会におけるルールは、条約(国どうしが正式に約束し きまりが文章に定められたもの)と国際慣習法(文章には定められていないが 長年の慣行からきまりになったもの)からなる国際法によって守られています。
2.日本の領土問題
日本が抱えている領土問題には以下のようなものがあります。
- 北方領土(ロシア)
ロシアが実効支配していますが、択捉島・国後島・色丹島。歯舞諸島の返還を日本政府は要求しています。 - 竹島(韓国、北朝鮮)
1952年以降、韓国が実効支配しています。日本政府は不法占拠と抗議しています。 - 尖閣諸島(中国、台湾)
中国、台湾が領有を主張していますが、日本は領土問題はないとしています。 - 沖ノ鳥島(韓国、中国)
沖ノ鳥島は「岩」であるとして、日本の排他的経済水域を認めていません。
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3.国際連合
3-1.国際連合の成り立ち
国際連合(UN)とは戦争や紛争を防ぎ、世界の平和と安全を維持するために1945年10月にニューヨークを本部として51か国が加盟し成立しました。
1920年1月にアメリカ大統領ウィルソンの提案によって設立された国際連盟との違いとしては以下が挙げられます。
- 発足時からソ連とアメリカが加盟している。
- 紛争において、武力制裁ができる。
- 議会は全会一致ではなく、多数決で行われる。
国際連合の加盟国の推移をみると分かることがあります。
1960年から1980年の間には植民地から独立した国々が参加したため、アジアやアフリカの加盟国数が増えています。
1980年から1992年の間にはソ連が崩壊し、冷戦が終結したことを契機に旧ソ連の国々が参加したため、ヨーロッパの加盟国数が増えています。
3-2.国際連合の組織と役割
国際連合は6つの主要機関と多数の専門機関からなります。
- 総会
年に1回すべての国が参加します。 - 安全保証理事会
アメリカ・イギリス・ソ連(ロシア)・フランス・中国の常任理事国と非常任理事国10か国からなります。
国際平和と安全を担うための会議が行われ、常任理事国は拒否権を持ちます。
平和維持活動(PKO)を行います。日本の自衛隊も1990年代から参加するようになりました。 - 経済社会理事会
女性の地位向上や途上国の貧困解消など、経済的・社会的問題への対応を行います。 - 信託統治理事会
国連で決まった領土の統治を監督します。1994年からは活動を停止しています。 - 国際司法裁判所
オランダのハーグにある国際問題の解決のための裁判所です。 - 事務局
の6つが主要機関です。
専門機関として、代表的なものは以下です。
- 国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)
教育・科学・文化面での国際協力を促進したり、世界遺産を登録・保護をします。 - 世界保健機関(WHO)
すべての人の心身の健康促進をはかります。感染症対策や災害援助などをします。 - 国連児童基金(ユニセフ、UNICEFF)
発展途上国の子供たちへの支援を行います。 - 国際労働機関(ILO)
労働者の地位向上や、労働問題の解決を図ります。
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4.地域統合の動き
4-1.EU(ヨーロッパ連合)
1967年に発足した欧州共同体(EC)が発展し、1993年に発足しました。
現在28か国が加盟し、域内の平和や福祉の充実、政治や経済分野での自由化、統合を目指しています。
1999年には統一通貨ユーロを導入しました。
しかし、2016年にイギリスのEU離脱が決まり、統合反対の声が強くなっています。
4-2.ASEAN(東南アジア諸国連合)
東南アジア10か国からなる政治・経済の地域協力の組織です。
今後人口が急増し、成長が期待される地域の1つです。
4-3.NAFTA(北米自由貿易協定)
アメリカ・カナダ・メキシコの主に関税撤廃を狙いとした協定です。
4-4.APEC(アジア太平洋経済協力会議)
域内の貿易や投資の自由化を通じた経済の発展を目指しています。
世界的な貿易自由化が滞る中で、特定の国や地域の間で関税をなくし、貿易の自由化を進めるFTAや、それを発展させ、投資や人、技術の移動もふくんだ連携を進めるEPAが広がっています。