【地理】エネルギーと産業
前回は世界と日本の人口について学んでいきました。
今回はエネルギーと産業について見ていきたいと思います。
世界と日本のエネルギー問題、日本の農業やその他の産業の課題点を勉強していきましょう。
1.エネルギーについて
私たちの生活と電気は切っては切り離せないものとなっています。
それでは電気を生み出すためのエネルギーはどのように作られているのでしょうか?
一番メジャーな発電方法は火力発電です。全体の約7割を賄っています。
そのうち40%ほどが石炭、5%ほどが石油、20%ほどが天然ガスを使用しています。
次によく用いられているのが水力発電です。15%ほどを占めます。
最後に原子力発電、これは13%ほど占めています。
1-1.火力・原子力発電での問題点
クリーンなエネルギーではない水力発電以外の2つの発電方法にはそれぞれ問題点が存在します。
- 温室効果ガスが排出され、地球温暖化が進む。
- 化石燃料の埋蔵量には、限界がある。
- 放射能漏れ、廃棄物処理の問題がある。
化石燃料の内、中東で主に採掘される石油は42年、アメリカ・ロシア・中国で採れる石炭は133年、イランやロシアで採れる天然ガスは60年が採掘できる限界の期間と言われています。
原子力発電は2011年に起きた東日本大震災の福島原発でも問題になりました。
1-2.エネルギー問題の解決へ
上記で上げられたエネルギー問題の解決の糸口として再生可能エネルギーが注目されています。
再生可能エネルギーには、太陽光発電・地熱発電・風力発電などが該当します。
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1-3.日本のエネルギー事情
今度は目を日本に限定して見ていきましょう。
日本は2009年時点で約65%を火力発電、約25%を原子力発電、7%を水力発電で賄い、そのほとんどを火力・原子力で賄っていました。
震災後の2012年には原子力発電の割合が約2%に激減しましたが、代わりに火力発電への依存度が高まり約80%をも占めるようになりました。
資源の輸入状況を見てみると、石油はサウジアラビアやアラブ首長国連邦といった中東から、石炭・鉄鉱石はオーストラリアから、天然ガスはマレーシアやオーストラリア、インドネシアから主に輸入しています。
このように利用する資源の多くを海外からの輸入に頼っていることが問題となっています。
2.産業について
産業とは人々が生活するうえで必要とされるものを生み出したり、提供したりする経済活動のことです。かつては職業としていたものが経済活動として奨励されるようになりました。
産業には大きく第一次~第三次までの産業に分けることが出来ます。
第一次産業:自然界に対してはたらきかけ,作物を作ったり,採取する産業です。農業,林業,漁業などが当てはまります。
第二次産業:自然界からとったりした物を使って加工する産業です。工業や建設業などが当てはまります。
第三次産業:第1次産業,第2次産業のどちらにも当てはまらない産業です。商業,金融業,運輸業,情報通信業,サービス業などが当てはまります。
一般的に先進国になるにつれて第三次産業に従事する割合が高くなる傾向にあります。
2-1.日本の農業
ここでは視点を日本に移し、第一次産業である農業の状況を見ていきたいと思います。
日本の農業の特徴としては
- 他の仕事もしながら農業に従事する兼業農家が多い
- 家族単位の小規模な農業経営
- 単位面積当たりの生産量が多い
といった特徴が見られます。
各地の特徴的な農業形態を見てみると
北海道~東北・新潟に掛けて穀倉地帯が広がり米の栽培が盛んです。
山形盆地、福島盆地、甲府盆地などでは果物の栽培がおこなわれています。
大都市の周辺では、都市に新鮮な農畜産物を周年的に供給することを目的に、野菜や花などの商品作物を栽培する近郊農業が活発です。
長野や群馬などでは高山気候の夏の涼しさを利用した抑制栽培をし、冬の野菜を夏に出荷することができます。
高知平野や宮崎平野などではビニールハウスなどの施設園芸農業をして、通常よりも早く育てる促成栽培の工夫をしています。
日本の農家の課題としては以下のような事が挙げられます。
- 食料自給率が40%程度と低くなっている。
- 高齢化が進み、後継者となる若い働き手がいない。
- 貿易の自由化(TPP:環太平洋戦略的経済連携協定)などにより、輸入作物との競争が激しくなる。
そのため、とれたものを取れたところで消費する「地産地消」の動きが活発です。
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2-2.日本の漁業・林業
日本の周りには4つの海流が流れていて、よい漁場を作っています。特に、東北の三陸海岸沖に見られるように、暖流と寒流がぶつかる潮目と呼ばれるところは、養分やプランクトンが集まりやすく、沿岸部には漁港が発達しています。
また、日本近海は比較的水深の浅く、太陽の光も届きやすい大陸棚という地形が広がっており、これもよい漁場をつくる条件の1つになっています。
そのため、日本は昔から世界有数の水産国として発達してきました。しかし、1980年代ごろから水産物の輸入が増加したり、各国の排他的経済水域での漁業制限が増える中で、遠洋漁業や沖合漁業は衰退していきました。
これに対し、魚を育てて取る養殖漁業や、魚を稚魚まで育て、一度海に放してからとる栽培漁業などの「育てる漁業」に力が入れられるようになりました。
林業は海外からの安い輸入木材が入ってきたことで、国内の木材が売れづらくなってしまいました。
2-3.日本の第二次産業
日本は工業化社会といって差支えが無いほど工業が盛んです。
京浜・中京・阪神・北九州といった四大工業地帯を始め、京葉・東海・関東内陸・(北陸)・瀬戸内にも工業地帯が存在します。この連なる工業地帯を「太平洋ベルト」と呼びます。
特に、原料を輸入し、製品を出荷する加工貿易が日本の得意分野です。
反面、製品を輸出できなくなる貿易摩擦が発生すると影響を大きく受けるという難点もあります。
近年では様々な国に拠点をもつ多国籍企業が増えています。
それに伴い、国内の産業が衰退する「産業の空洞化」が問題になっています。