【神奈川県】令和5年度/2023年度入学者高校入試選抜試験:国語の解説

神奈川県の2023年3月実施の令和5年度(2023年度)入学者の公立高校入試問題の解説をしています。
受験勉強において、過去問を解くことはとても効果的な勉強法です。ぜひ、受験までに一度挑戦し、問題の傾向を掴んでおきましょう。合わせて、対策などをたてられるととても良いですね。
また、過去問で苦手な点が見つかった場合は、そこを中心に試験日当日までにしっかりと対策しておきましょう。

大問1 漢字の読み書き・鑑賞

問題文

次の問いに答えなさい。

(ア)次のa~dの各文中の傍線部をつけた漢字の読み方として最も適するものを、あとの1~4の中から一つずつ選び、その番号を答えなさい。

a 物音が静寂を破る。
1:じょうせい
2:せいじゃく
3:じょうせき
4:せいしゅく

b 事態を収拾する。
1:しゅうそく
2:しゅうしゃ
3:しゅうしゅう
4:しゅうごう

c 試供品を頒布する。
1:はんぷ
2:りょうふ
3:ぶんぷ
4:はいふ

d 経済成長がしい。
1:おびただ
2:はなはだ
3:めまぐる
4:いちじる

(イ)次のa~dの各文中の傍線をつけたカタカナを漢字に表したとき、その漢字と同じ漢字を含むものを、あとの1~4の中から一つずつ選び、その番号を答えなさい。

a 生物をケイトウごとに分類する。
1:老舗のデントウを守る
2:強豪校との対戦にトウシを燃やす。
3:国会でトウシュが意見を述べる。
4:水をフットウさせる。

b 書類にインカンを押す。
1:会議でイッカンした方針を示す。
2:結果を聞いてカンセイをあげる。
3:植物の名前をズカンで調べる。
4:洗った服をカンソウさせる。

c 庭の花壇にキュウコンを植える。
1:教室でキュウショクを配膳する。
2:感激のあまりゴウキュウする。
3:犬には鋭いキュウカクがある。
4:大空をキキュウに乗って旅する。

d 木彫りの像に細工をホドコす。
1:学校でうさぎをイクする。
2:自動車をセイゾウする。
3:地質調査をジッする。
4:建築の許可をシンセイする。

(ウ)次の俳句を説明したものとして最も適するものを、あとの1~4の中から一つずつ選び、その番号を答えなさい。

ものの芽のほぐれる朝寝かな 松本たかし

1:朝寝をして日が高く昇ってから外へ出た自身の様子を「朝寝かな」と余韻を持たせて表し、昼間に活動を始めたことで春の日の光の温かさを植物とともに味わえた喜びを鮮明に描いている。
2:春の朝に植物の芽がほころぶ様子を「ほぐれほぐるる」と動きを重ねて表すことで、盛んに活動する植物と日が高くなるまで眠りの心地よさを味わっている自身の姿を対照的に描いている。
3:春に向けて庭に植えた多様な植物を「ものの芽」と表現して一般化することで、自身が朝寝をしている間にも土の中で発芽に向けて準備を進める植物の生命力の強さを印象深く描いている。
4:寒さの厳しい冬を乗り越えた植物がゆっくりと芽を伸ばしつつある様子を「朝寝」にたとえ、植物の動きから春の訪れを感じることで生じた自身の気持ちの高まりを情感豊かに描いている。

解答・解説

(ア)a:2,b:3,c:1,d:4

(イ)a:1.b:3,c:4,d:3
それぞれの漢字は以下のようになる。

a 系統
1:伝統 2:闘志 3:当主 4:沸騰

b 印鑑
1:一貫 2:歓声 3:図鑑 4:乾燥

c 球根
1:給食 2:号泣 3:嗅覚 4:気球

d 施す
1:飼育 2:製造 3:実施 4:申請

(ウ)2
「芽がほぐれ」=「動」、「朝寝」=「静」の対立構造に注目する。

1:「外へ出た自身の様子」「昼間に活動を始めた」が不適。
3:「土の中で発芽に向けて準備を進める」が不適。
4:「様子を『朝寝』にたとえ」が不適。比喩は用いていない。

大問2 小説文

問題文

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

(ア)傍線部1「和也はまんざらでもなさそうに立ち上がった。」とあるが、そのときの「和也」を説明したものをして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:幼い頃に描いた空の絵に対して毎朝空を観察している父親が賞賛の言葉を口にしたことで、絵の出来栄えを確信して気持ちが舞いあがり、喜びのままに絵を持ってこようとしている。
2:幼い頃に毎朝絵を描いていたことを父親から評価されてうれしくなったものの、親に褒められて喜ぶ姿を「僕」に見せるのが恥ずかしく、慌てた様子で居場所を変えようとしている。
3:幼い頃に描いた絵のすばらしさを自覚してはいるものの、父親の前で「僕」に褒められることを想像すると照れくさくなり、不真面目な発言をしてその場から離れようとしている。
4:幼い頃に描いた絵をほめてくれた父親に対して素直に喜びを表すことに抵抗を感じ、気持ちをごまかすような発言をしつつも、嬉しさをにじませて絵をとりにいこうとしている。

(イ)傍線部2「うん、と先生はおざなりな生返事をしたきり、見向きもしない。」とあるが、そのときの「藤巻先生」を説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:研究の話をしている最中に、状況を理解しないで絵のことを話しかけてくる「和也」に対して、戒めのためにあえて冷たくふるまっている。
2:芸術に関しては詳しくなく、絵に対して適切な評価ができないため、「和也」の呼びかけに気づかないふりをして話を続けようとしている。
3:「和也」の呼びかけに応じて絵を見ると、客が始めた話を中断することになると気づき、話が終わるまで待つようにと態度で示している。
4:研究に関係のある話をしているうちに、研究についての思考に没頭してしまい、「和也」の絵のことに対して意識が向かなくなっている。

(ウ)傍線部3「自室にひっこんでしまった和也を呼びに行く役目を僕が引き受けたのは、少なからず責任を感じたからだ。」とあるが、そのときの「僕」を説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:絵に関するやりとりの際に、「和也」の気持ちが明るくなったと気づいていながら、「藤巻先生」に絵とは関係ない話をして結果的に「和也」を落胆させてしまったため、何とかしたいと思っている。
2:父親に見せるために「和也」が必死になって絵を探していることが分かっていながら、「藤巻先生」の話を聞くことに夢中で結局「和也」を手伝うことができなかったため、申し訳ないと思っている。
3:「和也」が推さない頃の話をされていやがっていることを察していながら、「藤巻先生」が思い出話で盛り上がっていくのを止められず結局「和也」を怒らせてしまったため、機嫌をとろうと思っている。
4:「和也」が絵をきっかけに父親と将来の話をしたいと思っていることを知っていながら、「藤巻先生」の話を中断できず結果的に「和也」の気持ちを踏みにじってしまったため、心苦しく思っている。

(エ)傍線部4「親父があんなに楽しそうにしてるの、はじめて見たよ。」とあるが、そのように言った時の「和也」を説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:父親に向かって「僕」が熱く語る姿に憧れを感じつつも、「僕」のように自信を持って取り組めることのない自分が、父親の前で堂々と振舞えるはずがないと投げやりになっている。
2:「僕」が父親から優秀な研究者として認められていることを感じ取り、「僕」に違って勉強が得意ではない自分が、父親の期待に応えて研究者になれるのかどうか不安に思っている。
3:「僕」と一緒に過ごす中で自分の知らない父親の一面が現れたのを見て、「僕」と違って研究に関する話題を共有できず、父親から関心を示してもらえない自分に無力さを感じている。
4:口数の少ない父親が「僕」と一緒にいるときはよく話すということに気づき、「僕」のように話を聞くことに徹すれば、自分も父親とうまく関係を築けるのではないかと期待している。

(オ)傍線部5「わからないひとだよ、きみのお父さんは。」とあるが、ここでの「僕」の気持ちを踏まえて、この部分を朗読するとき、どのように読むのがよいか。最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:息子には得意なことをしてほしいという「藤巻先生」の考えを理解していながらも、まずは目の前にいる「和也」を慰めようと思い、わかっていない様子をよそおっているように読む。
2:熱心な研究者でありながら息子に後を継ぐことを強制しない「藤巻先生」は、自分たちの理解を超えた存在であるということを、「和也」だけでなく自分にも言い聞かせているように読む。
3:「藤巻先生」が学校の成績を気にすることはないと言いながらも家庭教師を依頼したのは、息子に仕事を継がせたいと思っているからだということを、「和也」に訴えかけるように読む。
4:「藤巻先生」の話し相手になっている自分に対し、父親のことを理解できているに違いないを決めつけてくる「和也」の態度に圧倒され、自分も理解できていないと打ち明けるように読む。

(カ)この文章について述べたものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:「藤巻先生」と「和也」がすれ違いながらも親子として互いを思っている様子を、夏のひとときを両者ともに過ごした「僕」の視点から描いている。
2:父親に反抗的な「和也」の態度に戸惑いつつも将来のことを「和也」に考えさせようとする「僕」の姿を、多くの擬態語や慣用句を用いて描いている。
3:「僕」と関わる中で誤解に気づいた「藤巻先生」と「和也」が互いを許し歩み寄っていく様子を、親子同士の短い言葉のやりとりによって描いている。
4:父親と関わる「僕」を見たことで研究者になることを決意する「和也」の姿を、幼いころに描いていた絵にまつわる「和也」の回想をまじえて描いている。

解答・解説

(ア)4
1:「絵の出来栄えを確信」や「喜びのままに」が不適。
2:「慌てた様子で居場所を変えよう」が不適。
3:「絵のすばらしさを自覚」や「不真面目な発言」が不適。

(イ)4
1:「戒めのためにあえて冷たく」が不適。
2:「適切な評価ができない」や「気づかないふりをして」が不適。
3:本文から読み取れないので不適。

(ウ)1
2:話を聞くのに夢中で手伝えなかったわけではないので不適。
3:「幼い頃の話をされて嫌がっている」が不適。
4:「絵をきっかけに父親と将来の話をしたい」は本文に記載がないので不適。

(エ)3
1:「堂々と振舞えるはずがない」が不適。
2:「僕」は「優秀な研究者」とは本文に記載がないので不適。
4:「『僕』のように~期待している」が不適。

(オ)2
1:「わかっていない様子をよそおっている」が不適。
3:「息子に仕事を継がせたい」が不適。
4:「決めつけてくる~圧倒され」が不適。

(カ)1
2:「多くの擬態語や慣用句」が不適。
3:「誤解に気づいた」や「短い言葉のやり取り」が不適。
4:「研究者になることを決意する」が不適。

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大問3 論説文

問題文

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

(ア)本文中の【A】・【B】に入れる語の組み合わせとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:【A】例えば【B】ただし
2:【A】しかし【B】または
3:【A】むしろ【B】そして
4:【A】やはり【B】つまり

(イ)本文中の傍線部Ⅰの語と同じ熟語の構成になっている語を、次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:携帯
2:名言
3:送迎
4:尽力

(ウ)本文中の傍線部Ⅱの「よう」と同じ意味で用いられている「よう」を含む文を、次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:妹はすでに出かけたようだ。
2:明日は早く起きようと思っている。
3:週末は一緒に映画を見ようよ。
4:雨が滝のように降っている。

(エ)傍線部1「私たちが見方を変えるのは、自分にとって都合の悪いことが起こったときだ。」とあるが、そのことについて筆者はどのような考えを述べているか。それを説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:不都合なことが起きた場合には、自身の個人的な欲求で都合よく物事を捉えるのではなく、世間において大多数の人が持っている認識に従おうとする傾向が強い。
2:都合の悪いことが生じたときには、自身の認識にこだわるのではなく、他者の意見や新しい知識を積極的に取り入れることで発想の転換をしようとする傾向が強い。
3:不都合なことが生じたときには、新たな見識を身につけて自身の認識を変えるのではなく、直面している物事を自身が受け止められるように捉え直す場合が多い。
4:都合の悪いことが起きた場合には、自身が長い時間をかけて身につけた認識を改めるのではなく、問題を生じさせている相手に意見を求めることが多い。

(オ)傍線部2「私たちのまなざしはもう変えられないほど固定化してしまう。」とあるが、それを説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:深刻な事態の連続を解消するために新たな答えを作り出すことが求められる中で、失敗を恐れるあまり一度成功した解決法にこだわってしまい、別の見方ができなくなっていくということ。
2:深刻な事態の連続で答えが定まらない状況から逃れようとして、自身にとって都合のいい側面だけに注目することを繰り返すうちに、自身の見方を改めることができなくなっていくということ。
3:深刻な事態が続いて誰も対応できないという状況に陥ると、自身の信念を揺るぎないものにして社会に貢献しなければならないという使命感が働いて、見方が動かせなくなっていくということ。
4:深刻な事態が続いて他人を信用することができなくなり、自分以外に頼れる人はいないという意識が強まった結果、徐々に自身の見方を絶対的なものとして捉えるようになっていくということ。

(カ)傍線部3「そんな常識」とあるが、それを説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:一度も教わったことがないにもかかわらず、すべての人間が生まれつき持っている同じような考え。
2:さまざまな時代を経て受け継がれていく中で、人々が何度も正確性を検証して出来上がったもの。
3:幼い頃から多くの人と触れ合い多様な経験をすることによって身につく、人によって異なる考え。
4:無意識のうちに自身の考えのもとになっている、長い間人々の共通認識として扱われてきたもの。

(キ)傍線部4「危機に際しても同じことが言える。」とあるが、それを説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:危機の前提となっている常識が覆りそうになると、常識を根拠に正当性を主張していた人々が政治家の責任を追及しようとするかもしれないということ。
2:危機の前提となっている常識が根本から変わりそうになると、新たな発見や発明をすることで常識を守ろうとする人が出てくるかもしれないということ。
3:危機の前提となっている常識が覆りそうになると、常識が変わることによって不利益を被る人々が不都合な事実を隠そうとするかもしれないということ。
4:危機の前提となっている常識が根本から変わりそうになると、常識をもとに進められてきた政策に社会全体が関心を示さなくなるかもしれないということ。

(ク)傍線部5「社会では次の常識を巡る『まなざしの戦い』が始まる。」とあるが、「まなざしの戦い」に関して筆者はどのような考えを述べているか。それを説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:物事の解釈に影響を及ぼすような情報が提示され、中には常識を覆すようなものもあるが、異なる主張にもとづいた膨大な数の情報が入り乱れているため、適切な選択をするのは困難である。
2:物事の解釈を揺るがそうとしてさまざまな情報が示されるが、中には根拠のないようなものも混じっているため、専門的な知識を駆使して検証しない限り、成果を探し出すのは困難である。
3:物事の解釈に影響を与えることを目的として情報が提示されるが、常識が通用しないような情報も存在しているため、複数の観点から捉え直さない限り、妥当性を判断するのは困難である。
4:物事の解釈を揺るがすような情報が提示され、多くの情報がそれらしくつくられてはいるが、実体は非科学的で根拠のないものであるため、正確なものを選ぶのは困難である。

(ケ)本文について説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:常識と見方が強く結びついていることを指摘するとともに、社会で常識が果たす役割について確認し、見方を変化させるためには常識を活用することが有効だと論じている。
2:見方の固定化が起こる経緯を述べたうえで常識について説明し、多様な見方が生み出されている現代において、常識に対する自身の見方を振り返ることの必要性を論じている。
3:社会に影響を与えている見方が常識によって固定化されたものであることを明らかにし、見方を変化させることの利点を説明しながら、情報発信の際の留意点も論じている。
4:見方と解釈の違いを明確にしながら長年社会で常識とされてきた見方に疑問を投げかけ、常識にとらわれず、自身の見方を強固なものにしていくことが重要だと論じている。

解答・解説

(ア)3
Aは逆接が入ること、Bには順接が入るので、3が適する。

(イ)1
「柔軟」も「携帯」も上下が似た意味の熟語である。
「名言」は上が下を修飾する熟語、「送迎」は上下が逆の意味の熟語、「尽力」は下が上の目的語となる熟語。

(ウ)2
Ⅱの「よう」は意思の助動詞。
1は推量の助動詞、3は勧誘の助動詞、4は直喩表現である。

(エ)3
1:「都合よく物事を捉えるのではなく」が不適。
2:筆者の考えと正反対
4:後半部分が不適。

(オ)2
1:「一度成功した解決法にこだわって」が不適。
3:仮定部分自体が不適。
4:本文中に記述がないため不適。

(カ)4
1:「生まれつき持っている」が不適。
2:「何度も正確性を検証」が不適。
3:「人によって異なる」が不適。

(キ)3
1:「政治家に~」の部分が、本文に記述がないため不適。
2:「新たな発見が~」の部分が、不適。
4:本文と矛盾するため不適。

(ク)1
2:「専門的な知識を駆使して検証」が不適。
3:「複数の観点から捉え直さない限り」が不適。
4:「非科学的で根拠のないものである」が不適。断定の表現は誤りのケースが多い。

(ケ)2
1:「常識を活用」が不適。
3:「情報発信の際の留意点も論じている」が不適。
4:「自身の見方を強固なものにしていく」が不適。

大問4 古文

問題文

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

(ア)傍線部1「終日に叡覧あるになほ飽き足らせたまはず。」とあるが、それを説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:高倉天皇は、小山の紅葉を一日中独り占めするのはもったいないと思い、多くの人たちと一緒に紅葉を眺めているということ。
2:高倉天皇は、小山に木を植えさせただけでは満足できず、紅葉が美しい他の山へ出かけて一日中紅葉を眺めているということ。
3:高倉天皇は、小山の紅葉を一日中眺めているうちに物足りなく感じ始め、紅葉している気を増やそうとしているということ。
4:高倉天皇は、小山に植えさせた紅葉を一日中眺めていてもまだ眺めたりないと思うほど、紅葉に夢中になっているということ。

(イ)傍線部2「蔵人、大きに驚き」とあるが、その理由として最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:紅葉した木は暴風で葉が散らされたことで鑑賞に向かなくなってしまったが、「殿守の伴のみやづこ」が機転をきかせ、高倉天皇が暖をとるための薪として枝や葉を役立たせたから。
2:暴風が吹いて散らばった紅葉を「殿守の伴のみやづこ」が片付け、残っている枝なども酒をあたためるために燃やしてしまった結果、高倉天皇が見る紅葉がなくなってしまったから。
3:見頃を迎えた紅葉が暴風によって散らされてしまったことに「殿守の伴のみやづこ」がいち早く気づき、紅葉の様子を見た高倉天皇が悲しむことのないよう、燃やして片付けたから。
4:酔っぱらった「殿守の伴のみやづこ」が紅葉の山に無断で立ち入り、酒をあたためようとして散り落ちた葉に火をつけたことで、高倉天皇が植えさせた紅葉まで燃えてしまったから。

(ウ)傍線部3「それらには誰が教へけるぞや。」とあるが、そのように言ったときの高倉天皇を説明したものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:「林間煖酒焼紅葉」という詩の一節を「殿守の伴みやづこ」がうまい具合に再現したのを見て、立場に合わないふるまいをしたものだとからかっている。
2:自分を喜ばせようとした「殿守の伴みやづこ」が「林間煖酒焼紅葉」という詩の一節をひそかに学んでいたということが分かり、心を動かされている。
3:「殿守の伴みやづこ」の行動を「林間煖酒焼紅葉」という詩の一節と照らし合わせることで趣のあるふるまいとして捉え、感心した態度を示している。
4:ずっと前に自分が教えた「林間煖酒焼紅葉」という詩の一節を「殿守の伴みやづこ」が覚えており、見事に詩の場面を再現してみせたことに驚いている。

(エ)本文の内容と一致するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:目覚めてすぐに紅葉の様子を見に来た高倉天皇は、処罰されることを「蔵人」が恐れる中で、「殿守の伴みやづこ」の行動を褒め、誰にも罰を与えることはなかった。
2:気分良く目覚めた高倉天皇は、「蔵人」の心配をよそに紅葉の様子を受けいれ、「殿守の伴みやづこ」の働きによって新たな楽しみ方に気が付けたことを喜んだ。
3:いつもより早く目覚めた高倉天皇は、紅葉の様子を見ただけで何が起きたかを把握して「殿守の伴みやづこ」の行動を許し、「蔵人」に事情を尋ねることはなかった。
4:紅葉の様子を心配して早く起きた高倉天皇は、言い訳ばかりする「蔵人」にあきれ、事情をありのままに報告した「殿守の伴みやづこ」の正直さを高く評価した。

解答・解説

(ア)4
1:「独り占めするのはもったいない」が不適。
2:「他の山へでかけ」が不適。
3:「木を増やそう」が不適。

(イ)2
1:「機転をきかせ」が不適。
3:「天皇が悲しむことがないよう」が不適。
4:「無断で立ち入り」「天皇が植えさせた~」が不適。

(ウ)3
1:「立場に合わないふるまい~からかっている」が不適。
2:「自分を喜ばせようとした」が不適。
4:「ずっと前に自分が教えた」が不適。

(エ)1
2:「新たな楽しみ方」が不適。
3:「事情を尋ねることがなかった」が不適。
4:全体的に本文の内容に合わない。

大問5 対話文

問題文

中学生のAさん、Bさん、Cさん、Dさんの四人グループは、「総合的な学習の時間」で人間と自然の共生について調べ、話し合いをしている。次の資料、グラフ1、グラフ2と文章は、そのときのものである。これらについてあとの問いに答えなさい。

【資料】
日本人は、古くから森を利用してきました。やがて森を加工し、水田や畑などの農耕地や居住のための解放空間を確保するようになり、その周りに自らの手で森を作り、奥山(自然林)、雑木林、里地という異なる生態系がつながりを持つ里山を作り上げてきました。
日本人は自然に手を加え、それを持続的に管理することで、自然との共生社会を完成させて、実に縄文の時代から一万年もの間、この狭い島国の中だけで完結して生きてきたとされます。

Aさん:私たちは、人間と自然の共生について調べてきました。今日は、日本に住む私たちがこれからどのように自然と関わっていくのかについて、それぞれが調べてきたことをもとに考えましょう。
Bさん:まずは、資料を見てください。日本人が森を利用して生きてきたことが書かれています。日本人は、森に手を加えて作った雑木林から木を切り出して薪や炭にしたり、里地で農耕をしたりしながら、手つかずの自然林である奥山ともつながりを持って生活してきました。
Cさん:人間は、それらの総体である里山という場で自然と関わってきたのですね。自然との関わりの中で、現在ではどのようなことが問題になっているのでしょうか。
Dさん:では、グラフ1を見てください。これは野生のシカの捕獲頭数と年齢別の狩猟免許書所持者数をまとめたものです。これを見ると【a】ことが分かります。
Cさん:野生のシカはどのような目的で捕獲されているのですか。
Dさん:野生のシカは人間の生活への被害を防ぐ目的で捕獲されることが多くなっています。シカに限らず、野生動物によって、農作物や希少な植物の食害、地表の植物が食い荒らされることによる土壌流出、自動車や鉄道車両との接触事故などが起こっており深刻な状況です。
Aさん:野生動物との関係一つ取ってみても、現在では自然との共生がうまくできていないことがわかります。ここで、人間が自然と共生していくうえで必要なことについて考えてみましょう。
Bさん:では、もう一度資料を見てください。日本人は自然に手を加えるだけでなく、それを持続的に管理することで自然との共生社会を完成させたと書かれています。一度自然に手を加えて雑木林や農耕地にしたら、管理し続ける必要があるのですね。現状はどうなっているのでしょうか。
Cさん:それについて、グラフ2を見ながら考えていきましょう。これは平成二十七年時点の全国に占める振興山村の割合を示したものです。産業の活性化や交通などの生活環境の整備が求められている振興山村では、自然に手を加えて雑木林や農耕地として利用してきました。
Dさん:まさに里山と同様の暮らしが営まれているのですね。グラフ2を見ると、日本の林野面積の約六十パーセントが振興山村にあるのに比べて、振興山村の人口は日本の人口の約三パーセントしかないことがわかります。林野と関わりながら暮らす人がとても少ないことが気になりますね。
Cさん:そうですね。そのことは、石油やガスが燃料として主流になって薪や炭を使用する機会が減ったことと関係していて、結果として放棄される雑木林が増えています。雑木林だけでなく、農耕地も放棄されるところが増え、再生利用が困難なほど荒廃してしまったところもあります。
Bさん:なるほど。日本では、林野と関わりながら暮らす人が少ないために、雑木林や農耕地として使われていたところが放棄されているのですね。
Dさん:このような現状もあって野生動物の活動範囲が広がり、シカなどが奥山から人間の生活しているところに出てきてしまうというようなことが起こっているのかもしれません。
Aさん:では、ここまでの話をまとめていきましょう。資料とグラフ2から読み取ったことをもとに、日本における人間と自然の共生という視点で考えると【b】ことが必要です。
Bさん:そうですね。ただし、人間の生活が変わってしまった以上は、そのことに加えてAIやロボットなどの科学技術を活用し、自然との共生に向けて何か新たな取り組みを始めることも必要ですね。
Aさん:次回は、振興山村の活性化のために実際に行われている取り組みについて調べてみましょう。

(ア)本文中の【a】に入れるものとして最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1:2018年度は29歳以下の狩猟免許所持者数が1975年度のおよそ10倍に増えているとともに、野生のシカの捕獲頭数も増えている
2:1975年度は狩猟免許所持者数のうち30歳代が最も多かった一方で、野生のシカの捕獲頭数は2018年度のおよそ1/10であった
3:1975年度は狩猟免許所持者数の総数が2018年度のおよそ4倍だったが、野生のシカの捕獲頭数は2018年度より大幅に少なかった
4:2018年度は狩猟免許所持者数の総数が1975年度の半数以下となり平均年齢が高くなっているが、野生のシカの捕獲頭数は増えている

(イ)本文中の【b】に適する「Aさん」の言葉を、次の①~④の条件を満たして書きなさい。
①書き出しの日本における人間と自然の共生という視点で考えると、という語句に続けて下記、文末のことが必要です。という語句につながる一文となるように書くこと。
②書き出しと文末の語句の間の文字数が二十五字以上三十五字以内となるように書くこと。
③資料とグラフ2からそれぞれ読み取った内容に触れていること。
④「管理」「林野」という二つの語句を、どちらもそのまま用いること。

解答・解説

(ア)4
グラフ1から読み取れること

  • 野生のシカの捕獲頭数は半数以下となったこと。
  • 免許所持者数は半数以下となったこと。
  • 1975年度の免許書所持者数は30歳代が最も多かったこと。
  • 2018年度の免許所持者数は、60歳以上が全体の6割近くを占め、平均年齢が高くなっていること。

(イ)【例】林野と関わりながら暮らす人を増やして雑木林や農耕地を持続的に管理する。

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お子さんそれぞれに、個性や性格、学力の差もあります。そんな十人十色のお子さん全員に合う勉強法ってなかなかないんです。
たからこそ、受験生の今だけでもお子さんだけの勉強法で受験を乗り越えてみませんか?

やる気アシストには、決まったカリキュラムはありません。お子さんの希望や学力、得意や不得意に合わせて、お子さんだけのカリキュラムで指導を行っていきます。また、勉強法もお子さんそれぞれに合う合わないがあります。無料体験授業では、お子さんの性格や生活スタイルを見せていただき、お子さんにとって効率的な成果の出る勉強のやり方をご提案させて頂きます。

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