【奈良県】令和4年度/2022年度入学者高校入試選抜試験:国語の解説

奈良県の2022年3月実施の令和4年度(2022年度)入学者の公立高校入試問題の解説をしています。
受験勉強において、過去問を解くことはとても効果的な勉強法です。ぜひ、受験までに一度挑戦し、問題の傾向を掴んでおきましょう。合わせて、対策などをたてられるととても良いですね。
また、過去問で苦手な点が見つかった場合は、そこを中心に試験日当日までにしっかりと対策しておきましょう。

今年度の奈良県の国語は4つの大問に分かれています。難易度は全体的にやや易です。
大問1の読解問題(随筆)の難易度はやや易です。読みやすい文章で、選択肢も直感的に分かる選択肢が多いです。
大問2の読解問題(論説文)の難易度は標準です。文章の言葉は難しいですか、論理構造が分かりやすいです。
大問3の漢文の難易度は易です。満点が十分に狙えます。
大問4のスピーチ・作文問題の難易度はやや易です。具体的には作文だけ文章量があるだけで、それ以外は簡単です。

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大問1

問題文

次の文章を読み、各問いに答えよ。

(1)A,Cのカタカナを漢字で書き、B,Dの漢字の読みをひらがなで書け。

(2)傍線部①について、筆者が「思っていた」内容を文章中の言葉を用いて簡潔に書け。

(3)傍線部②が直接かかる部分はどれか。次のア~エから1つ選び、その記号を書け。
ア:背負うと イ:決意したからには ウ:生涯それを エ:下ろすことはできない

(4)傍線部③と筆者が述べるのはなぜか。文章中の言葉を用いて二十五字以内で書け。

(5)次の「」内は、文章中のa~dのどの段落について説明したものか。最も適切なものをa~dから1つ選び、その記号を書け。
「筆者が意外性を感じた経緯を示して、読者にカタツムリへの親しみをもたせている。」

(6)この文章で筆者が言いたい内容として最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、その記号を書け。
ア:平常心を保って生きるカタツムリのように、自分も自らのペースで作品を創り出し、小説家として成功する道を模索しよう。
イ:黙々と殻を背負い続けるカタツムリのように、自分も日ごろ背負っている色々なことに挫けることなく進もう。
ウ:それぞれが異なる個性の殻をもつカタツムリのように、人間も一人一人異なる存在であるので、互いの違いを尊重しよう。
エ:周りに評価を求めることなく、ひっそりと美を創造するカタツムリのように、自分の価値観を大切にしよう。

(7)この文章の述べ方の特色として最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、その記号を書け。
ア:筆者の思いを、情景描写に重ねて具体的に述べている。
イ:筆者の思いを、時間の経過に従って詳細に述べている。
ウ:筆者の思いを、客観的な情報も交えながら素直に述べている。
エ:筆者の思いを、次々と主題を変えながら自由に述べている。

解答・解説

(1) 【正答 A:複雑 B:やわ(らか) C:差 D:うった(える)】

(2) 【正答 (例)カタツムリはナメクジの進化系である。】
文中の「ナメクジはカタツムリの進化系である」を逆にすればよい。

(3) 【正答 イ】
文法問題

(4) 【正答 (例)生まれ出たばかりのカタツムリにも殻があるから。】
文中「卵から生まれ出たばかりの~」を参照。

(5) 【正答 c】
筆者の経験が一番色濃く出ている。

(6) 【正答 イ】
筆者の思いは文頭か文末にあることが多い。「彼らを見るたび、~」を参照。

(7) 【正答 ウ】
ア:情景描写は描かれていない。
イ:時間の経過に従っていない。
エ:主題を変えていない。

大問2

問題文

次の文章を読み、各問いに答えよ。

(1)傍線部①の対義語を書け。

(2)傍線部②を、ほぼ同じ意味の漢字二字の熟語に言い換えよ。

(3)傍線部③とあるが、「リアリティがまったく失われてしまう」のは、わたしたちの世界をどうとらえて「ピアノの音」を説明するからか。最も適切なものを次のア~エから一つ選び、その記号を書け。
ア:「ものの本体」から成り立っているわたしたちの世界を、「もの」それ自体の世界と捉えて説明するから。
イ:「私的」であやふやなわたしたちの世界を、「もの」それ自体の世界と捉えて説明するから。
ウ:「もの」それ自体の世界と現象の世界には隔たりがないわたしたちの世界を、別々のものととらえて説明するから。
エ:「ものの本体」とそれの一時的な現れで構成されているわたしたちの世界を、一つのものととらえて説明するから。

(4)傍線部④とあるが、どのような「もの」か。最も適切なものを次のア~エから一つ選び、その記号を書け。
ア:誰の物でも構わない、自由な見方で把握された「もの」。
イ:わたしたちの見方を離れ、ただそれ自体として存在する「もの」。
ウ:わたしたちそれぞれが、偏りのない見方で認識した「もの」。
エ:誰の見方か分からず、あいまいでとらえどころのない「もの」。

(5)傍線部⑤の文と、その直前の文とを、文脈を変えないように一語の接続詞でつなぎたい。どのような接続語でつなぐのがよいか。最も適切なものを次のア~エから一つ選び、その記号を書け。
ア:それから イ:あるいは ウ:しかし エ:つまり

(6)この文章で筆者が述べている内容と合っているものを、次のア~エから一つ選び、その記号を書け。
ア:わたしたちが何かを見て美しいと感じることができるのは、自然科学的なものの見方をしているからである。
イ:人によって受け取り方が異なるあいまいなものは、真理の領域から排除されるべきである。
ウ:自然科学により明らかになったことも、私たちの生の営みに関係づけられることにより意味をもってくる。
エ:意識してみることで初めて、わたしたちを取り囲む物体に「表情」が生まれる。

(7)「リアリティ」や「表情」が私たちにもたらす効果を、筆者はどう考えているか。文章中の言葉を用いて四十字以内で書け。

解答・解説

(1) 【正答 主観的】
対義語問題です。オフィシャルではないですが、「主体的」も悪くないように思います。

(2) 【正答 (例)音色】
他にも、旋律、演奏などは問題ないかと思います。

(3) 【正答 ウ】
「もの」それ自体の世界で表現をしているので、ア・エは選択肢から消えます。
イに関しては前半部、「「私的」であやふやな~」が誤りです。

(4) 【正答 イ】

(3)と似た問題。今回の文章の対立構造は「もの」vs「私的」。今回も前者の「もの」それ自体の世界の表現の事なのでイが最適。

(5) 【正答 エ】
順接で、要約になっているので、エが最適。

(6) 【正答 ウ】
ア:美しいと感じるのは自然科学的なものの見方をした時ではない。
イ:「もの」の世界と「私的」なあいまいな世界は、共存して成立する。
エ:意識せずに「表情」は発生している。

(7) 【正答 (例)わたしたちの生活をいきいきとして張りのあるものにし、生きる意欲を刺激する。】
記述問題と見せかけた、ほぼ抜き出し問題。文章の最終段落の筆者の考えが記述されていればOK。

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大問3

問題文

下の漢詩は、中国の唐時代の詩人丘為の作品であり、下は書き下し文である。これを読み、各問いに答えよ。ただし、漢詩は返り点を省略している。

(1)傍線部①とは、梨の花を何と見間違うという事か。書き下し文から一字で抜き出して書け。

(2)傍線部②の読み方になるように、解答欄に返り点を書き入れて示せ。

(3)この漢詩の鑑賞として最も適切なものを、次のア~エから一つ選び、その記号を書け。
ア:起句、承句では香りの高い梨の花の様子が描かれ、転句、結句では春風で梨の香りや花びらが宮殿に届くことを願う気持ちがよまれている。
イ:起句、承句では梨の花びらが衣につく様子が描かれ、転句、結句では早く宮殿に春風が吹いて欲しいと願う気持ちが表現されている。
ウ:起句、承句では美しい梨の花に感動する人々の様子が描かれ、転句、結句では宮殿にも梨の花が咲くことを願う気持ちが表現されている。
エ:起句、承句では梨の開花を願う人々の様子が描かれ、転句、結句では春に宮殿で梨の花を観賞したいと願う気持ちがよまれている。

(4)次の行書で書いた□内の漢字を、楷書で書いたものと比較したとき、〇で囲まれた部分X、Yの行書の特徴の組み合わせとして最も適切なものを、後のア~エから一つ選び、その記号を書け。

ア:X 点画の丸み Y 筆順の変化
イ:X 点画の丸み Y 点画の連続
ウ:X 点画の省略 Y 点画の連続
エ:X 点画の省略 Y 筆順の変化

解答・解説

(1) 【正答 雪】
書き下し文から明白。

(2) 【正答 下図】

一二点をつけるだけ。

(3) 【正答 ア】

イ:少し惜しい。起句、承句は間違ってはいないが、梨の花の匂いを表現しているので最適ではない、転句、結句は春風は早く吹いて欲しいではなく、止まることなく宮殿まで届いてと言ってるので微かに違う気がする。
ウ:何にも違う。人々は出てこないし、宮殿に梨の花が咲くことを願ってもいない。
エ:ウと同じで大体誤り。

(4) 【正答 ウ】
Xでは本来より画数が少なっている事、Yではつながっている書いていることが分かる。

大問4

問題文

陽一さんのクラスでは、国語科の授業で、三分間程度のスピーチをする学習に取り組んでいる。テーマは「これからちょうせんしてみたいこと」で、陽一さんは、富士山登頂についてスピーチを行った。次は陽一さんが発表の際に使用した【メモ】と【3⃣の提示資料】、実際に行った【3⃣のスピーチの記録の一部】である。これらを読み、各問いに答えよ。

(1)陽一さんの【3⃣の提示資料】について説明したものとして適切なものを、次のア~オから二つ選び、その記号を書け。
ア:伝えることを明確にするために、要点を整理し見出しを付けている。
イ:内容に説得力をもたせるために、自分の考えと根拠を書いている。
ウ:視覚的にわかりやすく伝えるために、文字数を多くしている。
エ:多くの情報を伝えるために、文字数を多くしている。
オ:難しい内容を的確に伝えるために、語句の意味を詳細に示している。

(2)【3⃣のスピーチの記録の一部】からわかる陽一さんのスピーチの特徴として適切なものを、次のア~エのから一つ選び、その記号を書け。
ア:話の説得力を高めるために、具体的な体験談をいくつか紹介し、聞き手により多くの情報を伝えている。
イ:聞き手に問いかけながら、説明が必要だと思われる用語に捕捉を加え、わかりやすく伝えている。
ウ:多くの人の考えを示したうえで、重要なことばを繰り返しながら、自分の考えを丁寧に伝えている。
エ:聞き手に興味や関心を持たせるために、様々なたとえを用いながら工夫して伝えている。

(3)あなたが、人の話を聞くうえで大切だと思う事について、次の①、②の条件に従って書け。
条件①:二段落構成で書くこと。第一段落では、あなたが人の話を聞くうえで大切だと思う事を具体的に書き、第二段落では、その理由を書くこと。
条件②:原稿用紙の使い方に従って、百字以上百五十字以内で書くこと。

解答・解説

(1) 【正答 ア・ウ】
イ:考えと根拠は書かれていない
エ:文字数は多くしていない
オ:意味の詳細は示していない。
3つとも資料ではなく、スピーチで伝えると良いこと。

(2) 【正答 イ】
ア:体験談は伝えていない
ウ:多くの人の考えを示してはいない
エ:様々なたとえを用いていない

(3) 【正答 下記参照】

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