【奈良県】令和4年度/2022年度入学者高校入試選抜試験:数学の解説
奈良県の2022年3月実施の令和4年度(2022年度)入学者の公立高校入試問題の解説をしています。
受験勉強において、過去問を解くことはとても効果的な勉強法です。ぜひ、受験までに一度挑戦し、問題の傾向を掴んでおきましょう。合わせて、対策などをたてられるととても良いですね。
また、過去問で苦手な点が見つかった場合は、そこを中心に試験日当日までにしっかりと対策しておきましょう。
奈良県の数学は4つの大問で構成され、そのうち1つが小問集合となっています。その他の大問は、関数・図形が出てくることが多く空間図形はあまりテーマになることはありません。
難易度は標準といったところです。数学が得意なお子さんであれば満点を狙えると思います。
大問1
問題文
次の各問い答えよ。
(1)次の①~④の計算せよ。
① 3-7
② 4(x+2)+2(x-3)
③ 12xy²÷4x²×3xy
④ (x+2)(x+8)ー(x+4)(xー4)
(2)2次方程式 x²-6x+2=0 を解け。
(3)x=√2+3 のとき, x²-6x+9 の値を求めよ。
(4)yはxの2乗に比例し,x=2のときy=-8である。yをxの式で表せ。
(5)右の表は、ある学級の生徒40人の通学時間を度数分布表に整理したものである。
中央値(メジアン)が含まれる階級の相対度数を求めよ。
(6)図1のように、底面の直径と高さが等しい円柱の中に、直径が円柱の高さと等しい球が入っている。このとき、球の体積は円柱の体積がの何倍か。
(7)図2のようにな正方形ABCDがあり、点Pが頂点Aの位置にある。
2つのさいころを同時に1回投げて、出た目の数の和を同じ数だけ、点Pは頂点B、C、D、A、B、…の順に各頂点を反対時計回りに1つずつ移動する。例えば、2つのさいころの出た目の数の和が5のとき、点Pは頂点Bの位置に移動する。
2つのさいころを同時に1回投げたとき、点Pが頂点Dの位置に移動する確率を求めよ。
(8)図3のように線分ABと点Cがある。線分AB上にあり、∠APC=45°となる点Pを、定規をコンパスをつって解答欄の枠内に作図せよ。なお、作図に使った線は消さずに残しておくこと。
解答・解説
(1)① 【正答 -4】
(1)② 【正答 6x+2】
=4x+8+2x-6
=6x+2
(1)③ 【正答 9xy²】
(1)④ 【正答 10x+32】
=x²+10x+16-x²+16
=10x+32
(2) 【正答 x=3±√7】
二次方程式の解の公式に代入して、
x=[-(-6)±√{(-6)²-4×1×2}]/ (2×1)
=(6±√28) / 2
=3±√7
(3) 【正答 2】
=(√2+3)²-6(√2+3)+9
=2+6√2+9ー6√2-18+9
=2
(4) 【正答 y=-2x²】
yはxの2乗に比例するので、求める式の形は y=ax² ー①となる。
①にx=2、y=-8を代入して、
-8=a×2²
a=-2
よって、 y=-2x²
(5) 【正答 0.15】
全体で40人いるので、中央値は20と21番目の間の数値となる。
中央値は20~25の階級に含まれる。この階級の相対度数は、
6÷40=0.15
(6) 【正答 2/3 倍】
円柱の底面の半径をaとおく。底面の直径と高さが等しいので、円柱の高さは2a
よって、この円柱の体積は、
a²×π×2a=2πa³ ー①
また、球の直径は円柱の高さと等しいので、球の半径はaと表せる。
よって、球の体積は、
4/3×π×a³=4πa³/3 ー②
①、②より、
2πa³÷4πa³/3=2/3
(7) 【正答 5/18】
頂点Dの位置に移動するには、サイコロの目の和が3、7、11のいずれかになる必要がある。
サイコロの目の出方は、6×6=36通り
3になる組み合わせは、(1、2)、(2、1) の2通り。
7になる組み合わせは、(1、6)、(2、5)、(3、4) 、(4、3) 、(5、2) 、(6、1) の6通り。
11になる組み合わせは、(5、6)、(6、5) の2通り。
よって、求める確率は、
(2+6+2)/36=10/36=5/18
(8) 【正答】
大問2
問題文
図1のように、深さ50㎝の直応対の容器と給水管A、B、Cがある。この容器が空の状態から、給水管を使って6分間水を入れる。
この容器では、給水管A、B、Cを使うと、それぞれ毎分12㎝、毎分6㎝、毎分2㎝の割合で水面が高くなる。ただし、給水管は同時に複数使わないものとする。各問いに答えよ。
① 【(あ)】に当てはまる式を書け。
② 【(い)】、【(う)】に当てはまる語句の組み合わせを、次のア~エから1る選び、その記号を書け。
ア 【(い)】水面が1㎝高くなるのにかかる時間 【(う)】給水管Aの使用時間
イ 【(い)】水面が1㎝高くなるのにかかる時間 【(う)】給水管Bの使用時間
ウ 【(い)】1分あたりに高くなる水面の高さ 【(う)】給水管Aの使用時間
エ 【(い)】1分あたりに高くなる水面の高さ 【(う)】給水管Bの使用時間
(2)給水管をA、Bの順、またはA、Cの順に使って水を入れる。次の▭内は、水を入れ始めてから6分後に容器の底から水面までの高さが45㎝になる場合について、図2をもとに考えた太郎さんと花子さんの会話である。①、②の問いに答えよ。
太郎:容器の底から水面までの高さを50㎝から45㎝に変更して水を入れる場合、グラフを使って考えると、どうすればいいか。
花子:給水管をA、Bの順に使って水を入れ、水を入れ始めてから6分後に容器の底から水面までの高さが45㎝なることを考えるには、図2に、(え)直線を1本かき加えるといいよ。
太郎:直線1本書き加えることで、視覚的に考えることができるね。次に、給水管をA、Cの順に使って水を入れた場合、グラフを使って考えると、どうすればいいのかな。
花子:給水管A、Bの順に使う場合で考えたときにと同じように、給水管をA、Cの順に使って水を入れ、水を入れ始めてから6分後に容器の底から水面までの高さが45㎝になることを考えるには、図2に、(お)直線を1本書き加えるといいよ。
① 下線部(え)はどのような直線か。「直線m」の語を用いて簡潔に説明せよ。
② 次のア~エの中に、下線部(お)を適切に表しているグラフが1つある。そのグラフを、ア~エから1つ選び、その記号を書け。
なお、——-線は、図2の直線l、mを示している。
図1のように、深さ50㎝の直応対の容器と給水管A、B、Cがある。この容器が空の状態から、給水管を使って6分間水を入れる。
この容器では、給水管A、B、Cを使うと、それぞれ毎分12㎝、毎分6㎝、毎分2㎝の割合で水面が高くなる。ただし、給水管は同時に複数使わないものとする。各問いに答えよ。
(1)給水管をA、Bの順位使って水を入れる。次の▭内は、水を入れ始めてから6分後に容器の底から水面までの高さが50㎝になる場合の給水管A、Bの使用時間の求め方について、太郎さんと花子さんがそれぞれ考えたものである。①、②の問いに答えよ。
解答・解説
(1)① 【正答 12a+6b】
(1)② 【正答 ウ】
傾きは、(yの増加量)/(xの増加量)で求めることができる。
(2)① 【正答 (例)直線mをy軸の負の方向に5だけ平行移動した直線】
(1)の問題文の▭の花子さんの考えに従って、直線を引く。
容器の高さが、50㎝から5㎝だけ低くなっているので、書き加える直線も5だけ下げる。
(2)② 【正答 エ】
水を入れ始めてから、6分後に45㎝になるように線をかき足す。
(3) 【正答 4分12秒後】
給水管Bを用いて、水を1分間加えると、6㎝ためることができる。
給水管A、Cを用いて、5分間で残り42㎝水をためることを考えればよい。
(1)の問題文の▭の太郎さんの考えを使い求める。
給水管Aの使用時間をa分、給水管Cの使用時間をc分とすると、
a+c=5
12a+2c=42
これを解くと、a=3.2分=3分12秒
給水管Bを入れ始めから、給水管をCに変更するまでの時間なので、
1分+3分12秒=4分12秒
ご質問などお気軽にお問い合わせください。
大問3
問題文
図で、曲線は関数 y=6/x のグラフである。2点A、Bの座標はそれぞれ(-6、-1)、(-3、-5)である。点Cは、曲線上を動く点であり、点Dはx軸上を動く点である。2点C、Dのx座標はどちらも正の数である。原点をOとして、各問いに答えよ。
(1)点Cのx座標が1であるとき、点Cのy座標を求めよ。
(2)2点C、Dが、OC=CDを保ちながら動くとき、点Cのx座標が大きくなるにつれて、△OCDの面積の値はどのようになるか。次のア~オのうち、正しいものを1つ選び、その記号を書け。
ア 大きくなる。 イ 大きくなってから小さくなる。
ウ 小さくなる。 エ 小さくなってから大きくなる。
オ 一定である。
(3)△OABの面積を△OBDの面積が等しくなるように点Dをとるとき、点Dのx座標を求めよ。
(4)四角形ABCDが平行四辺形になるように2点C、Dをとるとき、2点B、Dを通る直線の式を求めよ。
解答・解説
(1) 【正答 6】
y=6/xにx=1を代入すればいいので、
y=6
(2) 【正答 オ】
点Cの座標は、(x,6/x)
OC=CDより、△OCDは常に二等辺三角形になるので、
点Dの座標は、(2x,0)
よって、△OCDの面積は、
2x×6/x×1/2=6
面積の値は常に一定になる。
(3)①【正答 27/5】
まず、△OABの面積を求める。
y軸と平行で点Aに接するような線lをひく。
x軸と平行で点Bに接するような線mをひく。
直線lとx軸が交わる点をE、直線lと直線mが交わる点をF、直線mとy軸が交わる点をGとする。
それぞれの座標は、
E(-6,0)、F(-6,-5)、G(0,-5)
となる。
△OAB=四角形OEFG-△OEA-△ABF-△OBG
={|−6|×|−5|}-{|−6|×|−1|×1/2}-{|(−5-(−1))|×|(−6-(−3))|×1/2}-{|−3|×|−5|×1/2}
=30-3-6-15/2
=27/2
点Dの座標を(a,0)とおく。
△OBDの面積をaを使って表すと、
a×|−6|×1/2
これが、27/2と等しいので、
27/2=a×|−5|×1/2
a=27/5
(3)② 【正答 y=2x/3-3】
線分ABの傾きは、
(-6、-1)、(-3、-5)
x軸方向の増加量は|(−6)-(−3)|=3 ー①
y軸方向の増加量は|(−1)-(−5)|=4 ー②
四角形ABCDは平行四辺形なので、
線分CDも同じような増加量になる。
C、Dの座標をそれぞれ
C(t,6/t)、D(s,0)とおくと、①、②より
(ただし、t>0、s>0、t>s)
|t-s|=3
|6/t-0|=4
⇔t=3/2
s=9/2
よって、BDをとおる直線の式は
直線の式に、B(-3、-5)、D(9/2、0)を代入して
-5=-3a+b
0=9/2a+b
この2つの連立方程式を解いて、
a=2/3
b=-3
求める直線は
y=2x/3-3
大問4
問題文
図のように、円周上に4点A、B、C、Dがあり、AB=ADである。
線分ACと線分BDとの交点をEとする。また、点Aを通り線分BCと平行な直線と、線分BD、線分CDとの交点をそれぞれF、Gとする。各問いに答えよ。
(1)∠ABD=a°とするとき、∠BCDの大きさをaを用いて表せ。
(2)△AEF∽△CEBを証明せよ。
(3)AB=6㎝、BC=4㎝、AC=8㎝のとき、①、②の問いに答えよ。
①△ABEの面積は△BCEの面積は何倍か。
②線分AGの長さを求めよ。
解答・解説
(1) 【正答 2a°】
△ABDはAB=ADの二等辺三角形なので、
∠ABD=∠ADB=a
また、同じ弧に対する円周角は等しいので、
∠ABD=∠ACD(=a) ー①
∠ADB=∠ACB(=a) ー②
①、②より、
∠BCD=∠ACD+∠ACB
=2a
(2) 【正答 (例)
△AEFと△CEBにおいて
平行線の錯角は等しいから、AG//BCより
∠EAF=∠ECB ー①
対頂角は等しいから
∠AEF=∠CEB -②
①、②より
2組の角がそれぞれ等しいから
△AEF∽△CEB 】
(3)① 【正答 9/7】
△ABCと△AEBにおいて、
(1)より、
∠ABD=∠ACB
∠BAC=∠EAB
なので、 △ABC∽△AEB
AC:AB=4:3より、
△ABC:△AEB=4:3
面積比は相似比の2乗なので、
△ABC:△AEB=16:9
△BCE=△ABC-△AEB=7
よって△BCE、△AEBの面積比は
△BCE:△AEB=7:9
よって、9/7倍
(3)② 【正答 64/11】
全ての角が等しいので、
△BCE∽△ADE
BC:AD=4:6より、
△BCE、△ADEの面積比は
△BCE:△ADE=4:9
より、△ADE=7×9/4=63/4
また、
AE:EC=9:7
より、
△ABE:△BCE=AE:EC=△ADE:△CDE=9:7
△CDE=63/4×9/7=49/4
△BCD:△ADC=7+49/4:63/4+49/4
=112/4:77/4
=16:11
よって、
AGの長さは
4×16/11=64/11
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