【京都府】令和5年度/2023年度入学者高校入試選抜試験:国語の解説
京都府の2023年3月実施の令和5年度(2023年度)入学者の公立高校入試問題の解説をしています。
受験勉強において、過去問を解くことはとても効果的な勉強法です。ぜひ、受験までに一度挑戦し、問題の傾向を掴んでおきましょう。合わせて、対策などをたてられるととても良いですね。
また、過去問で苦手な点が見つかった場合は、そこを中心に試験日当日までにしっかりと対策しておきましょう。
大問1
問題文
次の文章は、「俊頼髄脳」の一節である。注を参考にしてこれを読み、問い(1)~(5)に答えよ。
(1)本文中のaにはかにを、すべて現代仮名遣いに直して、平仮名で書け。また、次の(ア)~(エ)のうち、太字部が現代仮名遣いで書いた場合と同じ書き表し方であるものを一つ選べ。
(ア)ほのかにうち光りて
(イ)晴れならずといふことぞなき
(ウ)いづれの年よりか
(エ)ひとへに風の前の塵に同じ
(2)本文中の二重傍線部でしめされたもののうち、主語が一つだけ他と異なるものがある。その異なるものを、次の(ア)~(エ)から選べ。
(ア)見れば
(イ)問へば
(ウ)いへり
(エ)おしつけて
(3)本文中のb覚めにけりとぞとは、「覚めたいということだ」という意味であるが、「禰宜」はどのような状態から覚めたのか、最も適当なものを、次の(ア)~(エ)から一つ選べ。
(ア)貫之に神が乗り移っている夢を見ている状態
(イ)託宣をする神が禰宜に乗り移っている状態
(ウ)馬に乗って神社の前を通った貫之の夢を見ている状態
(エ)馬が倒れたことをとがめる神が禰宜に乗り移っている状態
(4)次の(ア)~(エ)は本文中のできごとについて述べたものである。(ア)~(エ)を時間の経過にそって古いものから順に並べ替え、記号で書け。
(ア)貫之が和歌を詠んだ。
(イ)倒れていた馬が生き返った。
(ウ)貫之が鳥居を見つけた。
(エ)蟻通の神がまつられていると貫之が知った。
(5)次の会話文は、光太さんと奈月さんが本文を学習した後、本文について話し合ったものの一部である。これを読み、後の問い一、二に答えよ。
光太 本文から、神が貫之の無礼な行いを<A>と考えたのは、貫之が故意にその行いをしたのではないからだとわかるね。その後、貫之は和歌を詠んだけれど、その和歌はどのような内容だったかな。
奈月 本で調べたけれど、「雲が空を覆っている夜なので、蟻通の神がいるとはうかつにも思わなかった」というような内容だよ。「ありとほし」という語は掛詞の解釈がさまざまにできて、この和歌の「神ありとほし」は、「神蟻通」と「神有り遠し」の掛詞だそうだよ。「遠し」は、神がいると気づかなかった貫之のうかつさを表現しているんだね。
光太 なるほど。この和歌は、<B>だよね。貫之には、掛詞という表現技法を用いて巧みに和歌を詠めるほど、和歌の実力があったんだね。
一 会話文中の<A>に入る最も適当な表現を、本文中から十字で抜き出して書け。
二 会話文中の<B>に入る最も適当な表現を、次の(ア)~(エ)から一つ選べ。
(ア)貫之が自らの行いに対する罰が何かを尋ねたので、卓越した和歌の力を示すことだと神が告げたところ、貫之が驚きためらいつつ詠んだもの
(イ)貫之が和歌の達人として神に認めてもらおうとしたので、試しに和歌を詠むように神が告げたところ、貫之が即座に考えて詠んだもの
(ウ)貫之が和歌を得意としていないと思っていた神が、あえて和歌を詠むことを求めたところ、貫之が神の予想に反して上手に詠んだもの
(エ)貫之が和歌に熟達していることを知っていた神が、その腕前を見せることを求めたところ、貫之がすぐに行動を起こして詠んだもの
解答・解説
(1)平仮名:にわかに 記号:ア
「ほのかに」は「仄かに」という一つの言葉。
(2)ウ
ア、イ、エは貫之が主語。ウのみ禰宜が主語。
(3)イ
本文「ただにはあらぬさまなり」と『明神の御託宣なり』より。神様が乗り移っている状態だと分かる。
(4)ウ→エ→ア→イ
鳥居を見つけて呼びかけたことで、神がまつられていると知った。その後和歌を詠んで、馬が生き返った。
(5)一:許しつかはすべきなり 二:エ
一 許そうとしたという意味の言葉が入る。
二 アは「驚きためらいつつ」、イは「和歌の達人として神に認めてもらおう」、ウは「和歌を得意としていないと思っていた神」が不適。
大問2
問題文
次の文章を読み、問い(1)~(11)に答えよ。
(1)本文中のa永遠の熟語の構成を説明したものとして最も適切なものを、次のⅠ群(ア)~(エ)から一つ選べ。またa永遠と同じ構成の熟語を、後のⅡ群(カ)~(ケ)から一つ選べ。
Ⅰ群
(ア)上の漢字が下の漢字を修飾している。
(イ)上の漢字と下の漢字の意味が対になっている。
(ウ)上の漢字と下の漢字が似た意味を持っている。
(エ)上の漢字と下の漢字が主語・述語の関係になっている。
Ⅱ群
(カ)雷鳴
(キ)速報
(ク)利害
(ケ)衣服
(2)本文中のb念頭に置いての意味として最も適当なものを、次のⅠ群(ア)~(エ)から一つ選べ。また、本文中のh追随したの意味として最も適当なものを、後のⅡ群(カ)~(ケ)から一つ選べ。
Ⅰ群
(ア)最初から説明して
(イ)常に意識して
(ウ)断続的に準備して
(エ)長時間調べて
Ⅱ群
(カ)後からついて行った
(キ)おのずと張り合った
(ク)大いに感動した
(ケ)たちまち夢中になった
(3)本文中のc特殊の読みを平仮名で書け。
(4)本文中のd例にとればよくわかりますを単語に分け、次の<例>にならって自立語と付属語に分類して示したものとして最も適当なものを、後の(ア)~(エ)から一つ選べ。
<例>日は昇る・・・(答)自立語+付属語+自立語
(ア)自立語+自立語+付属語+付属語+自立語+付属語
(イ)自立語+付属語+自立語+付属語+自立語+自立語
(ウ)自立語+付属語+自立語+付属語+自立語+自立語+付属語
(エ)自立語+付属語+自立語+付属語+付属語+自立語+自立語
(5)本文からは次の一文が抜けている。この一文は本文中の(1)~(4)のどこに入るか、最も適当な箇所を示す番号を一つ選べ。
だからこそ、ものを書いて商売するといった発想を度外視してまで、彼らは血のにじむ努力をしたのです。
(6)本文中のeそれの指す内容として最も適当なものを、次の(ア)~(エ)から一つ選べ。
(ア)近代は科学の時代で、作家が自分の生の真実を「告白」する道がひらけたことにより、うそっぽい話が流行しなくなったこと。
(イ)近代は科学の時代で、「私小説」が文学の常道となり、話は面白おかしく奇想天外でないといけないという考え方が広まったこと。
(ウ)近代は科学の時代で、いかにも面白く奇抜な小説に人々が飽き、作家が自分の生の真実を「告白」することが文学の常道にまでなったこと。
(エ)近代は科学の時代で、話は「リアル」ではないといけないという風潮が高まり、作家が自分の生の真実を「告白」する道がひらけたこと。
(7)本文中のfだけは助詞であるが、その種類として最も適当なものを、次のⅠ群(ア)~(エ)から一つ選べ。またfだけと同じ種類の助詞が太字部に用いられているものはどれか、後のⅡ群(カ)~(ケ)から一つ選べ。
Ⅰ群
(ア)格助詞
(イ)副助詞
(ウ)接続助詞
(エ)終助詞
Ⅱ群
(カ)目的地に着いたばかりだ。
(キ)会えてうれしいよ。
(ク)メモをしつつ話を聞く。
(ケ)今日は昨日より寒い。
(8)本文中のg性シツの片仮名の部分を漢字に直し、楷書で書け。
(9)本文中の<A>・<B>に入る表現の組み合わせとして最も適当なものを、次の(ア)~(エ)から一つ選べ。
(ア)A:個人は個人 B:作家が作家
(イ)A:個人は社会 B:個人が個人
(ウ)A:作家は社会 B:社会が作家
(エ)A:社会は個人 B:作家が個人
(10)本文における段落どうしの関係を説明した文として適当でないものを、次の(ア)~(エ)から一つ選べ。
(ア)2,3段落では、1段落で提示した話題について、具体例を挙げて説明している。
(イ)4,5段落では、2,3段落で述べた内容を別の角度から捉え、主張を提示している。
(ウ)6段落では、4,5段落で示した内容を認めたうえで、論を発展させている。
(エ)9段落では、7,8段落で述べた内容に言及しつつ、それとは反対の立場で主張をまとめている。
(11)実沙さんと潤一さんのクラスでは、本文を学習した後、本文に関連するスピーチをすることになった。次の会話文は、実沙さんと潤一さんが話し合ったものの一部である。これを読み、後の問い一~四に答えよ。
実沙 本文では、日本人が「私小説」という個人史物語を書くようになった経緯が述べられていたね。
潤一 そうだね。日本人が、近代という不安定な時代を生きていくうえで、「ある種の勇気」を得ることができたのは、発達心理学の見解から考えると、個人史を語ることが、自己をゆるぎないものとし、他者との関わりの中で自己の立ち位置を定め、<X>を自覚するきっかけになったからだと言えるね。
実沙 なるほど。それに、発達心理学の見解では、自己は、発達に伴いながら、<Y>であるということが本文からわかるね。そう考えると、個人史物語における個人にも同じようなことが言えるんだね。
潤一 そうだね。「私小説」は、<Z>ことによって生み出されたのだという筆者の主張にも納得がいくね。本文をよく理解できたし、スピーチについて考えようか。
一 会話文中の<X>に入る最も適当な表現を、本文中から十六字で抜き出し、初めと終わりの三字を書け。
二 会話文中の<Y>に入る最も適当な表現を、本文中から十二字で抜き出し、初めと終わりの三字を書け。
三 会話文中の<Z>に入る最も適当な表現を、次の(ア)~(エ)から一つ選べ。
(ア)突然の近代化で平静さを欠いた日本人が、自分を自明な存在として捉えるのではなく、物語の展開を介して自分という存在を確かなものにしようとした。
(イ)唐突な近代化に歓喜した日本人が、自分という存在を自明なものとして書くのではなく、物語の内容に応じて自分を確固たるものにしようとした。
(ウ)いきなりの近代化に驚き慌てた日本人が、物語の展開を通して自分をつくっていくのではなく、自分という明白な存在を物語に書こうとした。
(エ)急速な近代化で落ち着きを失った日本人が、自分の存在を確固たるものとして語るのではなく、物語を書くなかで全く別の自分になれるようにした。
四 スピーチをするときの一般的な注意点について説明した次の文章中の<A>~<C>に入る最も適切な表現を、<A>は後のⅠ群(ア)・(イ)から、<B>はⅡ群(カ)・(キ)から<C>はⅢ群(サ)・(シ)からそれぞれ一つずつ選べ。
スピーチは、<A>内容を決定し、<B>構成となるようにする。また、スピーチを発表する際は<C>とよい。
Ⅰ群
(ア)聞き手の関心よりも、具体的な体験や自分の関心を優先して
(イ)自分だけの関心に頼らず、話の目的や聞き手の関心に合わせて
Ⅱ群
(カ)話の順序を工夫して、考えの根拠を提示してわかりやすい
(キ)豊富な話題を取り入れ、専門的な語を多用した複雑な
Ⅲ群
(サ)調子を変えずに、話す速さを一定にする
(シ)早口で話さずに、間の取り方を工夫する
解答・解説
(1)ウ、ケ
アーキ、イーク、エーカの組み合わせになる。
(2)イ、カ
(3)とくしゅ
(4)ウ
単語に分けると
例/に/とれ/ば/よく/わかり/ます
となる。
(5)3
「血のにじむような努力をした」の原因が書かれているタイミングの3が最適。
(6)エ
傍線部直前の2文の内容が書かれてる者が答え。
(7)イ、カ
キ:終助詞、ク:接続助詞、ケ:格助詞
(8)質
(9)イ
5段落を参照すればよい。
(10)エ
(11)一:社会環~うもの 二:次第に~くもの 三:ア エ:<A>イ<B>カ<C>シ
一:「自覚するきっかけ」と同じ表現を探す
二:「発達に伴いながら」と同じ表現を探す
三:イは「歓喜」が、ウは「明白な存在を~」がエは「全く別の自分になれる」が不適
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