【大阪府】令和5年度/2023年度入学者高校入試選抜試験:理科の解説

大阪府の2023年3月実施の令和5年度(2023年度)入学者の公立高校入試問題の解説をしています。
受験勉強において、過去問を解くことはとても効果的な勉強法です。ぜひ、受験までに一度挑戦し、問題の傾向を掴んでおきましょう。合わせて、対策などをたてられるととても良いですね。
また、過去問で苦手な点が見つかった場合は、そこを中心に試験日当日までにしっかりと対策しておきましょう。

大阪府の理科問題は、難易度としては標準。 生物・物理・化学・地学がバランスよく出題されていますので、不得意分野を持っている場合は、しっかりと克服しておくと吉です。

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大問1

問題文

みそ汁などの料理に用いられる調味料の一つであるみそは、大豆を原料とした加工食品である。 このことを家庭科の授業で学習し興味をもったJさんは、みそづくりについて調べ, U先生と一緒に実験し、考察した。 あとの問いに答えなさい。

【Jさんがみそづくりについて調べたこと】
<みそ (米みそ)の主な原料>
大豆 (㋐ダイズの種子), 米、㋑ コウジカビ、酵母菌など
<みそ (米みそ)の製法>
まず、原料の大豆を鍋で蒸してから細かくつぶす。
次に、つぶした大豆に 「米麹 (コウジカビを米に付着させたもの)や、酵母菌などの微生物を加えて, 一定温度で一定期間置く。 すると, 特有の香りが立ち始め、みそができていく。

(1) 下線部 ㋐について 図Iはダイズの葉のようすを模式的に表したものである。 ダイズについて述べた次の文中の a〔 〕b〔 〕から適切なものをそれぞれ一つずつ選び,記号を〇で囲みなさい。
図Iに示すように, ダイズの葉は、葉脈が a 〔ア. 網状イ、平行〕 になっている。 このような葉のつくりをもつダイズは〔ウ. 単子葉類 エ . 双子葉類〕に分類される。

(2) 下線部 ㋑ついて, コウジカビはカビの一種である。
① カビについて述べた次の文中の c〔 〕d〔 〕,から適切なものをそれぞれ一つずつ選び,記号を○で囲みなさい。
カビは c〔ア. 乳酸菌や大腸菌 イ. シイタケやヒラタケ〕と同様に d 〔ウ. 菌類 工、細菌類〕に分類される生物である。

②Jさんは、顕微鏡の倍率を400倍にしてコウジカビを観察し、図Ⅱに示すような装置を用いて画像に記録した。次に、記録したコウジカビの細胞の大きさをミジンコの大きさと比較するために、顕微鏡の倍率を100倍にしてミジンコを観察し, 画像に記録した。 記録した画像では, コウジカビの細胞が5個連なったものの長さとミジンコ全体の長さがそれぞれ顕微鏡の視野の直径と一致していた。 図ⅢはそのようすをJさんがスケッチしたものである。図Ⅲ中に示したコウジカビの細胞の実際の長さ K [mm] とミジンコの実際の長さL [mm] の比はいくらと考えられるか、求めなさい。 答えは最も簡単な整数の比で書くこと。ただし, 図Ⅲ中におけるコウジカビの細胞5個の大きさはすべて等しく、顕微鏡の倍率が変わっても顕微鏡の視野の直径は一定であるものとする。

【JさんとU先生の会話1】
Jさん: みその香りは,どのようにしてつくられるのでしょうか。
U先生: みその香りのもとの一つにエタノールがあります。 みそづくりの過程では、コウジカビや酵母菌などの微生物が㋒デンプンや麦芽糖(ブドウ糖が2個つながった物質) にはたらくことで,エタノールがつくられています。 どのようなしくみになっているのか、実験を通じて調べてみましょう。

(3)下線部㋒について, ヒトの消化管では,消化液によってデンプンや他のさまざまな養分が分解されている。 次のア~エのうち, デンプン, タンパク質,脂肪のすべてを分解するはたらきをもつ消化液はどれか。一つ選び, 記号を○で囲みなさい。
ア.だ液
イ.胃液
ウ.胆汁
エ.すい液

実験

図Ⅳのようにビーカーを六つ用意し, A, B, C,D, E, F とした。 A, B, C にはうすいデンプン溶液を100mLずつ入れ, D, E, F にはうすい麦芽糖水溶液を100mLずつ入れた。 次に, AとDには少量の水を, BとEにはコウジカビを含む液を, CとFには酵母菌を含む液を加えた。 A~F を 35℃に保って1日置いた後,それぞれについて, 溶液2mLを取って1mLずつ2本の試験管に分け, 1本めにはヨウ素液を加えた。 2本めにはベネジクト液を加えて加熱した。 また, ビーカーに残ったそれぞれの溶液を蒸留し, エタノールの有無を調べた。表Ⅰは得られた結果をまとめたものである。

(4) ヨウ素液とベネジクト液の色の変化について述べた次の文中のe〔 〕f〔 〕から適切なものをそれぞれ1つずつ選び、記号を〇で囲みなさい。
ヨウ素液を薄いデンプン溶液に加えると、ヨウ素液の色はe〔ア.黄色 イ.青紫色〕に変化する。また、ベネジクト液を薄い麦芽糖水溶液に加えて加熱すると、ベネジクト液の色は f〔ウ.赤褐色 エ.青色〕に変化する。

【JさんとU先生の会話2】
Jさん:今回の実験では結果がたくさん得られました。複数の結果を組み合わせて考えれば,コウジカビや酵母菌のどのようなはたらきによってエタノールがつくられているのかが分かりそうです。この実験の考察においては, 表I に示す㋓AやDの結果をふまえることが重要です。 どのように考えればデンプンを分解した微生物は1種類だったことが分かりますか。
Jさん:表Ⅰに示すAとBの結果の比較と〔 Ⓧ 〕の結果の比較をあわせれば分かります。
U先生:その通りです。 さらに実験において, コウジカビや酵母菌がそれぞれに異なるはたらきをしていると考えると,みそづくりの過程においてエタノールがつくられるしくみも分かりますね。
Jさん:はい、 みそづくりの過程では、〔 Ⓨ 〕ことでエタノールがつくられると考えられます。
U先生: その通りです。 微生物がうまくはたらいて,みその香りがつくられるのですね。

(5) 実験では,AとDには微生物を加えていないが,AとDは実験結果を考察する上で重要な役割をもつ。
① 下線部㋓について,次の文中の()に入れるのに適している語を漢字2字で書きなさい。
実験で調べたいことを明らかにするためには,条件を変えた実験をいくつか行ってこれらを比較する。 このように結果を比較する実験のうち、特に,調べたいことについての条件だけを変え、それ以外の条件を同じにして行う実験は( )実験と呼ばれている。

② 次のア〜カのうち、上の文中の 〔 Ⓧ 〕 に入れる内容として適しているものを一つ選び,記号を〇で囲みなさい。
ア.AとC
イ.AとD
ウ.AとE
エ.AとF
オ.DとE
カ.DとF

(6) 次のア~エのうち、上の文中の〔 Ⓨ 〕に入れる内容として最も適していると考えられるものを一つ選び,記号を〇で囲みなさい。
ア. コウジカビが麦芽糖にはたらくことでできたデンプンに、酵母菌がはたらく
イ. コウジカビがデンプンにはたらくことでできた麦芽糖に、酵母菌がはたらく
ウ. 酵母菌が麦芽糖にはたらくことでできたデンプンに,コウジカビがはたらく
エ. 酵母菌がデンプンにはたらくことでできた麦芽糖に,コウジカビがはたらく

解答・解説

【解答】
(1) a ア b エ
(2) ➀ c イ d ウ
② 1:20
(3) エ
(4) e イ f ウ
(5) ➀ 対照 ②ア
(6) イ

【解説】
(1) 網状脈は葉脈が枝分かれするように広がっている。一方で平行脈は、葉脈が同じ方向に伸びている。網状脈の植物を双子葉類、平行脈の植物を単子葉類と分類する。
(2) ➀ 菌類と細菌類の違いで分かりやすいのが、大きさである。菌類はカビやキノコのように目で見えるほど大きいのに対して、細菌類は乳酸菌や大腸菌というように肉眼では見えない。
(2) ②図IIIで、ミジンコ全体の長さはコウジカビの細胞が5個連なったものの長さの400/100=4[倍] である。よって、K:L=1:(4×5)=1:20
(3) すい液には、デンプンを分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼが含まれている。
(4) ヨウ素液は、デンプンに反応して青紫色に変色する。ベネジクト液は糖に加えて加熱すると反応し、赤褐色の沈殿が生まれる。
(5) ➀対照実験:ある条件の効果を調べるために、他の条件は全く同じにして、その条件のみを除いて行う実験。漢字に注意。
(5) ② AとBの結果を比較するとコウジカビのはたらきでデンプンが分解されたことが、AとCを比較すると酵母菌にはデンプンを分解するはたらきがないことがわかる。
(6) DとFを比較すると、酵母菌のはたらきで麦芽糖がエタノールに変化したことが分かる。

大問2

問題文

ルーペやカメラに用いられている凸レンズの役割に興味をもったRさんは, 光の進み方と凸レンズのはたらきについて調べ, 実験を行った。また, 調べたことや実験の内容をもとに, ルーペやカメラに用いられている凸レンズの役割についてまとめた。 次の問いに答えなさい。

(1) 図Iは,光がガラスから空気へ進むときのようすを模式的に表したものである。
① 次のア~ウのうち, 図Iにおける光の入射角と屈折角の大きさの関係を正しく表している式はどれか。 一つ選び,記号を〇で囲みなさい。
ア. 入射角>屈折角
イ. 入射角=屈折角
ウ.入射角<屈折角

② 図I において,入射角をしだいに大きくすると,やがて光はすべてガラスと空気の境界面で反射するようになる。このような反射は何と呼ばれる反射か, 書きなさい。

Rさんが光の進み方と凸レンズのはたらきについて調べたこと

・自ら光を出すものは光源と呼ばれ, 光源はさまざまな方向に光を出す。 光源からの光を物体が乱反射することによって,物体からもさまざまな方向に光が出る。
・物体が凸レンズの焦点の外側にあるとき, 物体のある1点からさまざまな方向に出た光のうち, 凸レンズを通る光は1点に集まり, 実像ができる。
・物体からの光が多く集まるほど, 実像は明るくなる。
・図ⅡIは,物体の先端からさまざまな方向に出た光のうち, 凸レンズを通る3本の光の道すじを作図したものである。

(2) 物体から出た光の道すじについて述べた次の文中の()に入れるのに適している内容を簡潔に書きなさい。
物体からさまざまな方向に出た光のうち, 光軸(凸レンズの軸) に( )は, 凸レンズを通った後に焦点を通る。

(3) 次のア〜エのうち、図Ⅱの物体の先端から出てP点を通った後に凸レンズを通る光の道すじを作図したものとして最も適しているものを一つ選び, 記号を〇で囲みなさい。

実験

Rさんは,図Ⅲのように凸レンズを用いて実験装置を組み立てた。凸レンズの位置は固定されており,物体,電球, スクリーンの位置は光学台上を動かすことができる。物体として用いた厚紙は, 凸レンズ側から観察すると図ⅣVのように高さ2.0cmのL字形にすきまが空いており,このすきまから出た光がつくる物体の像を調べるため、次の操作を行った。

・凸レンズの中心線から物体までの距離をAcmとし、A =5.0、15.0、20.0、 30.0 のとき, それぞれスクリーンを動かして, スクリーンに実像ができるかを調べた。凸レンズの中心線からスクリーンまでの距離をBcmとし, スクリーンに実像ができた場合は,Bと図Ⅲ中に示した実像の高さを測った。 また,実像の高さを物体のすきまの高さ (2.0cm) で割った値を倍率とした。

表I は, これらの結果をまとめたものであり, スクリーンに実像ができない場合は, B, 実像の高さ, 倍率は 「一」と示されている。

(4) 表Ⅰから、凸レンズの焦点距離は何cmになると考えられるか, 求めなさい。 答えは小数第1位まで書くこと。

(5) 次の文中の()に入れるのに適している語を書きなさい。

A=5.0のとき, スクリーン側から凸レンズを通して物体を観察すると, 物体よりも大きな像が見られた。この像は、光が集まってできたものではなく,実像に対して ( )像と呼ばれている。

(6) Rさんは表 I から, A = 15.0、20.0、 30.0 のとき, 倍率の値が A,Bを用いた文字式でも表せることに気付いた。このことについて述べた次の文中の a〔 〕から適切なものを一つ選び, 記号を〇で囲みなさい。 また, b 〔 〕に入れるのに適している数を小数第1位まで書きなさい。

A = 15.0, 20.0, 30.0 のとき, 倍率の値は, いずれも a 〔ア. A÷B イ. 2A ÷ B ウ. B ÷ A エ. B÷2A〕の値に等しいことが分かる。 スクリーンに実像ができるとき、この関係がつねに成り立つものとすると,A = 35.0,B=14.0であれば, スクリーンにできる実像の高さは〔 b 〕cmになると考えられる。

(7) A=20.0 のとき, 図Vのように光を通さない黒い紙で凸レレンズの一部を覆った。 このときにスクリーンにできた実像は、光を通さない黒い紙で凸レンズの一部を覆う前にスクリーンにできた実像と比較して,どのような違いがあったと考えられるか。 次のア〜エのうち,適しているものを一つ選び,記号を〇で囲みなさい。

ア.像全体が暗くなったが,像は欠けなかった。意
イ.像の一部のみ暗くなったが、像は欠けなかった。
ウ.像全体が暗くなり,像の一部が欠けた。
エ.全体の明るさは変わらず, 像の一部が欠けた。

Rさんがルーペやカメラに用いられている凸レンズの役割についてまとめたこと

・ルーペには,物体を拡大して観察するために凸レンズが用いられており、物体は凸レンズの焦点の〔 c 〕にくるようにする。 凸レンズを通して見られる像は,物体と上下が同じ向きになる。

・カメラには, 物体からの光を集めるために凸レンズが用いられており、物体は凸レンズの焦点の〔 d 〕にくるようにする。 物体からの光を集めてできる像は,物体と上下が〔 e 〕になる。

(8) 次のア〜エのうち、上の文中の〔 c 〕~〔 e 〕に入れるのに適している内容の組み合わせはどれか。一つ選び,記号を〇で囲みなさい。 ただし, ルーペやカメラに用いられているレンズは,それぞれ1枚の凸レンズでできているものとする。
ア. c 内側 d 外側 e 同じ向き
イ. c 内側 d 外側 e 逆向き
ウ. c 外側 d 内側 e 同じ向き
エ. c 外側 d 内側 e 逆向き

解答・解説

【解答】
(1) ➀ウ ②全反射
(2) 平行な光
(3) エ
(4) 10.0cm
(5) 虚
(6) a ウ b 0.8
(7) ア
(8) イ

【解説】
(1) ➀ 入射角は光と書いてある場所から境界面までの直線のこと。点線を0°として考えると分かる。
(1) ② 入射光が境界面を透過せず、すべて反射する現象を全反射という。
(2) 光軸に平行な光が凸レンズへ入射すると、その光は屈折し、 反対側の焦点を通過する。
(3) 解説略
(4) 表Ⅰで、A=20.0、B=20.0のときに倍率が1.0倍になっている。物体を凸レンズの焦点距離の2.0倍の位置に置いた時、焦点距離の2倍の位置に物体と同じ大きさの実像が出来るので、焦点距離は20.0 / 2 =10.0 cm
(5) 平面鏡や凹レンズなどで発散した光を逆向きにたどって見える物の像を虚像という。
(6) a 表1を元に考える。例えばA:15.0 B:30.0の場合、倍率は2倍とある。B÷Aでつじつまが合う。
(6) b 倍率は14.0÷35.0=0.4 [倍] なので、実像の高さは2.0 × 0.4=0.8 cm
(7) 物体から様々な方向に光が出るので、全体の像がスクリーンにできるが、黒い紙で覆った部分は光を通さないので物体からの光は少なくなり、像は覆う前に比べて暗くなる。
(8) 解説略

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大問3

問題文

大阪に住むGさんは,季節によって気温が変化することに興味をもち, 日本における太陽の南中高度や昼間の長さの違いなどについて調べた。 また, Gさんはよく晴れた日に自宅近くの公園で, 太陽光が当たる角度と太陽光から受け取るエネルギーについて実験し, 考察した。
あとの問いに答えなさい。

Gさんが地球の公転と太陽の南中高度について調べたこと

・地球の公転と, 春分の日 夏至の日,秋分の日 冬至の日の地球の位置を模式的に表すと 図Iのようになる。
・図 I 中の A, B, C,Dのうち, 春分の日の地球の位置は〔 a 〕である。
・地球は,現在, 地軸を公転面に垂直な方向から23.4°傾けたまま公転している。
・地軸の傾きのため、 太陽の南中高度は季節によって異なる。 ・春分の日,夏至の日、秋分の日、冬至の日のおおよその太陽の南中高度は, 次の式で求めることができる。
春分の日、秋分の日の太陽の南中高度 = 90° -緯度
夏至の日の太陽の南中高度 = 90°-緯度 + 地軸の傾きの角度
冬至の日の太陽の南中高度 = 90°-緯度 + 地軸の傾きの角度
・上の式を用いると, 北緯34.5° の地点にある自宅近くの公園では、冬至の日の太陽の南中高度は b [ア. 約11.1° イ. 約 32.1° ウ. 約 66.6° エ. 約 78.9°〕 と考えられる。

(1) 図 I 中のA~Dのうち, 上の文中の a に入れるのに適しているものはどれか。 一つ選び, 記号を〇で囲みなさい。

(2) 地球の公転により、観測できる星座は季節によって異なる。 1日を周期とした天体の見かけの動きが日周運動と呼ばれるのに対し、1年を周期とした天体の見かけの動きは何と呼ばれる運動か, 書きなさい。

(3) 前の文中の b 〔 〕から最も適切なものを一つ選び, 記号を〇で囲みなさい。

Gさんが太陽の高度と昼間の長さについて調べたこと

・春分の日 夏至の日、冬至の日の1日の太陽の高度の変化を表すと, 図Ⅱのグラフのようになる。 秋分の日は春分の日と同じようなグラフになる。
・図Ⅱのように, ㋐太陽の南中高度によって昼間の長さ(日の出から日の入りまでの時間) が変化する。
・太陽の南中高度や昼間の長さの変化は, 気温に影響を与えている。

(4) 下線部㋐について、仮に地軸の傾きの角度が1°小さくなって22.4°になった場合, 夏至の日と冬至の日の昼間の長さは、現在と比較してどのように変わると考えられるか。 次のア〜エから最も適しているものを一つ選び、記号を〇で囲みなさい。 ただし、地軸の傾きの角度のほかは、現在と変わらないものとする。
ア. 夏至の日も冬至の日も 昼間の長さが短くなる。
イ. 夏至の日も冬至の日も、昼間の長さが長くなる。
ウ.夏至の日は昼間の長さが長くなり, 冬至の日は昼間者の長さが短くなる。
エ.夏至の日は昼間の長さが短くなり, 冬至の日は昼間の長さが長くなる。

実験

Gさんは, 材質と厚さが同じで,片面のみが黒く, その黒い面の面積が150cm²である板を4枚用意し, a, b,c,dとした。 Gさんは自宅近くの公園で,図Ⅲのように, 太陽光が当たる水平な机の上で, a~dを水平面からの角度を変えて南向きに設置した。 板を設置したときに, 黒い面の表面温度を測定したところ, どの板も表面温度が等しかった。 板を設置してから120秒後, a~d の黒い面の表面温度を測定した。 ㋑当初,Gさんは, 実験を春分の日の正午ごろに行う予定であったが, その日は雲が広がっていたため、翌日のよく晴れた正午ごろに行った。

(5) 下線部㋑について, 図Ⅳは,Gさんが当初実験を行う予定であった春分の日の正午ごろの天気図である。
① この日は,低気圧にともなう前線の影響で、広い範囲で雲が広がった。 図Ⅳ中のFで示された南西方向にのびる前線は,何と呼ばれる前線か,書きなさい。

② 次のア〜エのうち,この日の翌日に,大阪をはじめとした近畿地方の広い範囲でよく晴れた理由として考えられるものはどれか。 最も適しているものを一つ選び,記号を〇で囲みなさい。
ア. 近畿地方が, 低気圧にともなう2本の前線に挟まれたため。
イ.低気圧が近畿地方で停滞し、低気圧の勢力がおとろえたため。
ウ. 発達した小笠原気団が低気圧を北へ押し上げて,近畿地方を覆ったため。
エ.移動性高気圧が東へ移動し、近畿地方を覆ったため。

【Gさんが太陽光が当たる角度と太陽光から受け取るエネルギーについて調べたこと】
同じ時間で比較すると, 太陽光に対して垂直に近い角度で設置された板ほど, 単位面積あたりに太陽光から受け取るエネルギーは大きい。

【実験の結果と考察】
・板を設置してから120秒後, 板 a ~ dのうち, 黒い面の表面温度が最も高かった板は[ ]であった。
・板を設置してからの120秒間で, 単位面積あたりに太陽光から受け取ったエネルギーが大きい板の方が、黒い面の表面温度はより上昇することが分かった。

(6) 図Ⅲ中のa~d のうち, 上の文中の[ ]に入ると考えられるものとして最も適しているものはどれか。 一つ選び,記号を〇で囲みなさい。

(7) 実験において, 板を設置してからの120秒間で, a の黒い面が太陽光から受け取ったエネルギーが、単位面積(1cm²) あたり11Jであったとすると, a の黒い面の全体(150cm²) が1秒間あたりに太陽光から受け取ったエネルギーは何Jか、求めなさい。 答えは, 小数第1位を四捨五入して整数で書くこと。

解答・解説

【解答】
(1) D
(2) 年周運動
(3) イ
(4) エ
(5) ➀寒冷前線 ② エ
(6) b
(7) 14J

【解説】
(1) 北半球では、夏は地軸の北極側が太陽の方向に傾いていて(A)、冬は地軸の北極側が太陽と反対方向に傾いている(C)。
(2) 地球が太陽の周りを公転することによって起きる1年を周期とする天体の見かけの動きを年周運動という。
(3) 冬至の日の太陽の南中高度は90ー34.5ー23.4=32.1[°]
(4) 夏至の日の南中高度=90ーその地の緯度+23.4なので、地軸の傾きが1°小さくなると、南中高度は小さくなり、昼の長さは短くなる。冬至の日南中高度=90ーその地の緯度ー23.4なので、地軸の傾きが1°小さくなると、南中高度は大きくなり、昼の長さは長くなる。
(5) ➀寒冷前線(かんれいぜんせん)は暖気より寒気の方が勢力が強く、寒気が暖気を押しのけて進む時にできる前線のこと。
②ア:前線付近では一般に天気が悪く、雲が発生しやすく雨が降りやすくなる。
    イ:この天気図からは低気圧が縮小することはうかがえない。
    ウ:天気図に小笠原気団は書かれていない。小笠原気団が発達するのは7~9月。
(6) 春分の日の太陽の南中高度は90ー34.5=55.5[°]太陽光に垂直に設置された板の傾きは90ー55.5=34.5[°]
(7) aの黒い面全体が120秒間に受け取ったエネルギーは11×150=1650[J]1秒間あたりに太陽光から受け取ったエネルギーは1650/120ー13.75≒14[J]

大問4

問題文

アルミニウムでできている1円硬貨よりも、 主に銅でできている10円硬貨の方が重いことに興味をもったWさんは、Y先生と一緒に実験し、考察した。 あとの問いに答えなさい。

Wさん : 1円硬貨より10円硬貨の方が重いのは,10円硬貨の体積が1円硬貨の体積より大きいことや異なる物質でできていることが関係しているのでしょうか。
Y先生: はい。㋐アルミニウムと銅では密度が違います。 同じ低体積で質量を比べてみましょう。 1cm³の金属の立方体が三つあります。 アルミニウムの立方体は2.7g,銅の立方体は9.0g、 マグネシウムの立方体は1.7gです。
Wさん : 同じ体積でも、銅に比べてアルミニウムの方が軽いのですね。 マグネシウムはさらに軽いことに驚きました。 銅の立方体の質量はマグネシウムの立方体の質量の約5.3倍もありますが,銅の立方体に含まれる原子の数はマグネシウムの立方体に含まれる原子の数の約5.3倍になっているといえるのでしょうか。
Y先生: いい質問です。 実験して調べてみましょう。 マグネシウムと銅をそれぞれ加熱して, 結びつく㋑酸素の質量を比べれば, 銅の立方体に含まれる原子の数がマグネシウムの立方体に含まれる原子の数の約 5.3倍かどうか分かります。

(1) 下線部㋐について述べた次の文中の a〔 〕b〔 〕から適切なものをそれぞれ一つずつ選び, 記号を〇で囲みなさい。
アルミニウムは電気を a〔ア. よく通し イ. 通さず〕, 磁石に b 〔ウ. 引き付けられる エ. 引き付けられない〕金属である。

(2) 下線部㋑について、酸素を発生させるためには,さまざまな方法が用いられる。
① 次のア~エに示した操作のうち,酸素が発生するものはどれか。一つ選び,記号を〇で囲みなさい。
ア. 亜鉛にうすい塩酸を加える。
イ. 二酸化マンガンにオキシドール(うすい過酸化水素水)を加える。
ウ. 石灰石にうすい塩酸を加える。
エ.水酸化バリウム水溶液にうすい硫酸を加える。

② 発生させた酸素の集め方について述べた次の文中の()に入れるのに適している語を書きなさい。
酸素は水にとけにくいので( )置換法で集めることができる。

実験1

1.30g のマグネシウムの粉末を, ステンレス皿に薄く広げ、粉末が飛び散らないように注意しながら図 Iのように加熱すると,マグネシウムの粉末は燃焼した。 十分に冷却した後に粉末の質量を測定し, その後, 粉末をかき混ぜ, 加熱,冷却,質量の測定を繰り返し行った。 表 I は, 加熱回数と加熱後の粉末の質量をまとめたものである。

実験1について述べた次の文中のc〔 〕から適切なものを一つ選び,記号を○で囲みなさい。表Iから、 1.30gのマグネシウムの粉末は4回めの加熱が終わったときには完全に反応しており, 空気中の酸素が c〔ア.2.16 イ. 1.08 ウ. 0.86 エ. 0.43〕g結びついたと考えられる。

【Wさんが立てた、 次に行う実験の見通し】
一定量のマグネシウムに結びつく酸素の質量には限界があることが分かった。 次に, 加熱前のマグネシウムの質量と, 結びつく酸素の質量の間に規則性があるかを確かめたいので,異なる分量のマグネシウムの粉末を用意し,それぞれを加熱する実験を行う。

実験2

0.30g から0.80gまで 0.10g ごとに量り取ったマグネシウムの粉末をそれぞれ別のステンレス皿に薄く広げ,実験1のように加熱した。 この操作により,それぞれのマグネシウムの粉末は酸素と完全に反応した。 図Ⅱは, 加熱前のマグネシウムの質量と, 結びつく酸素の質量の関係を表したものである。

(4) マグネシウム0.9gに結びつく酸素の質量は、図Ⅱから読み取ると何と考えられるか。答えは小数第1位まで書くこと。

【WさんとY先生の会話2】
Wさん: マグネシウムの質量と,結びつく酸素の質量は比例することが分かりました。これは,マグネシウム原子と結びつく酸素原子の数が決まっているということですか。
Y先生: はい。 ㋒空気中でマグネシウムを加熱すると,酸化マグネシウムMgOとなります。 酸化マグネシウムMgOに含まれる,マグネシウム原子の数と酸素原子の数は等しいと考えられます。
Wさん ということは,加熱前のマグネシウムに含まれるマグネシウム原子の数は、加熱により結びつく酸素原子の数と等しくなるのですね。
Y先生:その通りです。では,次に銅について実験2と同様の操作を行いましょう。 銅は酸化されて,酸化銅CuO になります。 酸化銅CuOでも銅原子の数と酸素原子の数は等しいと考えられます。

Wさん : 銅は穏やかに反応しました。 得られた結果を図Ⅱにかき加えて図Ⅲを作りました。図Ⅲから,銅の質量と、結びつく酸素の質量は比例することも分かりました。
Y先生:では, 図Ⅲから, それぞれの金属の質量と、結びつく酸素の質量の関係が分かるので,先ほどの1cm³の金属の立方体に結びつく酸素の質量を考えてみましょう。
Wさん : 図Ⅲから分かる比例の関係から考えると、銅やマグネシウムの立方体の質量と,それぞれに結びつく酸素の質量は, 表Ⅱのようにまとめられます。 ㋓結びつく酸素の質量は, 結びつく酸素原子の数に比例するので, 銅の立方体に含まれる原子の数は,マグネシウムの立方体に含まれる原子の数の約〔d〕倍になると考えられます。
Y先生:その通りです。原子は種類により質量や大きさが異なるため、約5.3倍にはならないですね。

(5) 下線部㋒について、次の式がマグネシウムの燃焼を表す化学反応式になるように〔x〕に入れるのに適しているものを後のア~オから1つ選び、記号を〇で囲みなさい。
〔 x 〕→2MgO
ア. Mg + O
イ. Mg + O₂
ウ. 2Mg + O
エ. 2Mg + O₂
オ. 2MgO + 2O₂

(6) 下線部㋓について、次の文中の〔 Ⓨ 〕に入れるのは適している数を求めなさい。答えは小数第一位まで書くこと。
結びつく酸素の質量に着目すると、図Ⅲから、0.3gのマグネシウムに含まれるマグネシウム原子の数と〔 Ⓨ 〕gの銅に含まれる銅原子の数は等しいと考えられる。

(7) 上の文中の〔 d 〕に入れるのに適している数を、表Ⅱ中の値を用いて求めなさい。答えは小数第2位を四捨五入して小数第1位まで書くこと。

解答・解説

【解答】
(1) a ア b エ
(2) ➀イ②水上
(3) ウ
(4) 0.6g
(5) エ
(6) 0.8
(7) 2.1

【解説】
(1) 金や銀、銅も電気は通すが磁石にはくっつかない。
(2) ➀アでは水素、ウでは二酸化炭素が発生する。エでは気体は発生しない。
(3) 2.16ー1.30=0.86[g]
(4) マグネシウム0.9gと結びつく質量をxgとすると、0.9:x=0.6:0.4より x=0.6[g]
(5) マグネシウムを空気中で燃焼させると、2Mg + O₂ → 2MgO によって、まばゆい光を放って激しく反応する。
(6) 図Ⅲから、0.2gの酸素と結びつく質量は、マグネシウムは0.3g、銅は0.8gである。
(7) マグネシウム原子や銅原子の数は結びつく酸素原子の数と等しく、結びつく酸素の質量は結びつく酸素原子の数に比例するので、立方体に含まれる原子の数は銅はマグネシウムの2.3/1.1=2.09…≒2.1[倍]

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