【兵庫県】令和2年度/2020年度入学者高校入試選抜試験:数学の解説

2020年度【令和2年度】兵庫県公立高校入試(数学)過去問題解説

兵庫県の2020年3月実施の令和2年度(2020年度)入学者の公立高校入試問題の解説をしています。
受験勉強において、過去問を解くことはとても効果的な勉強法です。ぜひ、受験までに一度挑戦し、問題の傾向を掴んでおきましょう。合わせて、対策などをたてられるととても良いですね。
また、過去問で苦手な点が見つかった場合は、そこを中心に試験日当日までにしっかりと対策しておきましょう。

兵庫県の数学は全体的に難易度が高く、独特な問題が出題される傾向があります。
難易度としては難。時間がかかる問題が多く、一度嵌ると時間が足りなくなってしまうということも多くあるかなと思います。

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大問1:小問集合

問1:正負の数の計算

問1:6÷(-3)を計算する問題です。
【・答え「-2」】
異符号どうしの掛け算・割り算は異符号になります。

問2:文字式の計算

問2:(3x-2y)-(x-5y)を計算する問題です。
【・答え「2x+3y」】
()を外すと3x-2y-x+5yとなる。
同類項をまとめると2x+3yとなる。

問3:平方根の計算

問3:√8+√18を計算する問題です。
【・答え「5√2」】
√は二乗を作ると√の外に出せる。
√8は√2³=√2²×2=2√2
√18は√2×3²=3√2
√の中身が同じならば足し算・引き算が出来るので
2√2+3√2=5√2となる。

問4:連立方程式の計算

問4:連立方程式を計算する問題です。
【・答え「x=3,y=-5」】
3x+y=4・・・①,x-2y=13・・・②とする。①×2+②でyを消去すると、6x+x=8+13これを解くと、x=3となる。
これを①に代入すると3×3+y=4これを解くと、y=-5となる。

問5:二次方程式の計算

問5:x²+3x-2=0を計算する問題です。
【・答え「(-3±√17)/2」】
2次方程式の解の公式を使って解く。

問6:反比例の計算

問6:表からアに当てはまる数を計算する問題です。
【・答え「-4」】
反比例の式はxyの積が一定となる。
表より積は-16になるので、4の相手は-4になる。

問7:確率

問7:赤玉2つと白玉1つが入った袋から、1つを取り出す試行を2回した時に、いずれも赤玉を取り出す確率を求める問題です。
【・答え「4/9」】
取り出したときに赤玉を取り出す確率は2/3となる。これを2回行い、独立試行となるので2/3×2/3=4/9が答えとなる。

問8:角度問題

問8:円に内接する三角形の角度xを求める問題です。
【・答え「48度」】

弧BCに対する円周角は等しいので∠BAC=∠BDC=42°
∠BCDは弧BDに対する円周角となるので、中心角∠BODの半分となるので90°
△BCDに注目すると、三角形の内角の和より、x°+90°+42°=180°となるので
答えは48°となる。

大問2:関数

底面が1辺100cmの正方形である直方体の水槽Xに1分間に12Lの水を入れると75分で満水になる。
この時以下の問いに解いていく関数問題です。

おもりの分だけ体積が減っている関係性に気づくと簡単です。

問1:単純計算問題(単位換算)

問1:水槽Xの高さを求める問題です。
【・答え「90cm」】
まず、満水になるときに何Lあるのかを求める。
1分間で12L注がれるので12L×75分=900L
1Lは1000cm³なので、900000cm³の水があることが分かる。
よって水槽Xの高さは
900000cm³÷100cm÷100cm=90cmとなる。

問2:発展関数問題

問2:新たに図2に示すおもりYを水槽Xに入れると55分で満水となる。グラフで表すと図4となる。その時①~③の問いに答える問題です。
①おもりYの辺FGの長さは何cmか求める問題です。
【・答え「50cm」】
おもりYが入るとその分の体積、必要な水が減ることに注目する。
おもりが入ったときは55分で満水になったことから12L×55分=660L入ったことが分かる。
問1より、元々の満水は900Lなので差の900L-660L=240Lがおもりの体積だと分かる。
よって、辺FGの長さは240000cm³÷80cm÷60cm=50cmとなる。

②図4のⅠに当てはまる数を求める問題です。

【・答え「30」】
水面の高さが60cmになったときの水の体積が分かれば求められる。
そのためにはおもりが無いときに入る体積とおもりの体積の差を考えていけばよい。
おもりが無いと仮定すると、水の体積は100cm×100cm×60cm=600000cm³=600L
①よりおもりの体積は240Lなので、実際の水の体積は600L-240L=360Lである。
1分間で12L水を入れるので、360L÷12L=30分となる。

③おもりYの3つの面EFGH,AEFB,AEHDの中で、一番早く水面の高さが20cmとなるときはどの面かを選択ア~エの中から選ぶ問題と、その時の経過時間を求める問題です。

【・答え「符号:イ、時間:8分40秒」】

底面積が一番大きいときに、水は一番早く溜まるので、記号の答えはイ。
次に時間は②と同じ様に求めればよい。
実際に溜まった水の体積は100cm×100cm×20cm-60cm×80cm×20cm=104000cm³=104Lとなる。

よって、104L÷12L=8と2/3となるので、答えは8分40秒となる。

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大問3:平面図形

図1に示すような平行四辺形ABCDを図2のように、頂点Bが頂点Dに重なるように折ったとき、頂点Aが移った点をGとし、その折り目をEFとします。このときCD=CF=2cm、∠GDC=90°となります。
後の問いに答える図形問題です。

1:2:√3の三角形を見つけることが出来るかがカギになります。

問1:単純証明問題

問1:△GDE≡△CDFを証明した時に(ⅰ)(ⅱ)にあてはまるものをア~カの中から1つ選んで証明を完成させる問題です。
【・答え「(ⅰ)イ、(ⅱ)カ」】
(ⅰ)平行四辺形のABCDの対辺は等しいのでBA=CD、折り返して重なる点なのでBA=DG、よって答えはイとなる。
(ⅱ)①②⑥は辺が1つと、角が2つなので、答えはカとなる。

問2:標準図形問題

問2:∠EDFの大きさを求める問題です。
【・答え「30度」】
平行線の錯角は等しいのでAD//BCより、∠EDF=∠CFDである。△CDFはCF=CDの二等辺三角形だから∠GDE=∠CDFである。
よって、∠EDF=∠CDF=∠GDEであり、∠EDF+∠CDF+∠GDE=∠GDC=90°だから、∠EDF=1/3∠GDC=30°である。

問3:選択問題

問3:線分DFの長さを求める問題です。
【・答え「2√3cm」】

図のように作図すると1:2:√3になることが分かる。
よって、FM:FC=√3:2=1/2FD:2なので、FD=2√3cmとなる。

問4:発展図形問題

問4:五角形GEFCDの面積を求める問題です。
【・答え「3+2√3」】

図のように作図をすると、五角形GEFCDの面積は△GDEと△CDFと△DEFを足したものだと分かる。
△GDE=△CDF=CF×CH÷2,△DEF=DE×CH÷2で求められる。
△CHDに注目すると1:2:√3の三角形になっているので、CH:CD=√3:2=CH:2となる。
よって、CH=√3が分かる。また、△GDE≡△CDFより、DE=DF=2√3なので
△GDEの面積は√3、△DEFの面積は3となり、△GDE≡△CDFから
3+2√3が答えとなる。

大問4:資料の活用

2つの畑A,Bから同じ品種の玉ねぎを同じ時期に収穫しました。畑Aから500個、畑Bから300個それぞれ収穫し、標本のためにそれぞれ10%を無作為に抽出しました。図1のように横方向の1番長い部分の長さを測り、玉ねぎの大きさを決めます。図2は畑Aから抽出した50個の玉ねぎの大きさを調べてヒストグラムにしたものです。
この時、以下の問いに答えていく問題です。

基本的な事柄が多いサービス大問です。

問1:単純統計問題

問1:畑Aから抽出した50個の玉ねぎの大きさについて最頻値と平均値を求める問題です。
【・答え「最頻値:7cm、平均値7.8cm」】
最頻値とは最も多く数値が表れている箇所のこと。今回は6.5~7.5の時である。
最頻値は平均をとればよいので、(6.5+7.5)÷2=7.0が答えとなる。

平均値に関しては、仮の平均をとるととても簡単になる。階級値8cmを仮の平均として表にまとめると以下のようになる。

階級階級値仮の平均との差度数仮の平均×度数
4.5~5.55-36-18
5.5~6.56-25-10
6.5~7.57-112-12
7.5~8.58070
8.5~9.59+110+10
9.5~10.510+210+20
50-10

よって仮の平均よりも-10÷50=-0.2ということが分かるので
8.0-0.2=7.8cmが答えとなる。

問2:単純統計問題

問2:畑Bについても抽出した30個の玉ねぎの大きさを調べて分かった①~③の条件を元に、表したヒストグラムとして最も適当なものを選択肢ア~カの中から選ぶ問題です。
【・答え「エ」】
条件をそれぞれ見ていくと簡単。
①より、Aの最頻値は7なので、イは不適。
②より、Aの中間値(半分になるときにいる位置)は7.5~8.5である。よってア・ウ・カは不適。
③より、Aの階級値6cmの相対度数は5/50=0.1である。よってオは不適。

問3:単純統計問題

問3:今回の統計をまとめた文章になるようにⅠにAかBを、Ⅱに当てはまる数を求める問題です。
【・答え「Ⅰ:B、Ⅱ:240個」】
(Ⅰ)6.5cm以上の相対度数をそれぞれ求める。
Aは39/50=0.78、Bは24/30=0.8となるので、答えはBとなる。

(Ⅱ)(Ⅰ)よりBの6.5cm以上の相対度数は0.8なので、0.8×300=240が答えとなる。

大問5:二次関数

コンピュータ画面上に3つの関数y=1/8x²,y=1/4x²,y=1/2x²のグラフを表示します。画面1~3のア~ウは左記の関数の何れかであるとき、以下の問いに答えていく問題です。

問2までは簡単なので確実に解けるようにしておきましょう。

問1:単純グラフ問題

問1:関数y=1/8x²のグラフをア~ウの中から選ぶ問題です。
【・答え「ウ」】

y=ax²のグラフは aの絶対値が大きいほど、放物線の開きは小さくなるので、答えはウ。

問2:単純二次関数問題

問2:操作1と操作2を行った後の点Aのx座標aの値を求める問題です。
【・答え「2」】
問1より、アはy=1/2x²のグラフだと分かる。
x座標とy座標が同じになることから、x,yにそれぞれaを代入して解くと、a=0,2が得られる。
a>0であるから、答えはa=2である。

問3:発展複合問題

問3①:操作1,2に続けて操作3~9を行ったときの点Eの座標を求める問題です。
【・答え「(0,8)」】

まず分かる座標から求めていくと、Aは問2よりA(2,2)Bは(-2,2)Cはウ上の点なのでy=2を代入しC(4,2)さらにDはイ上の点でx座標がCと同じになるのでD(4,4)となる。さらにFは(4,0)となる。
この時、△OFDが直角二等辺三角形だと分かるので、OD=√2OF=4√2だと分かる。
さらに、点Dを回転の中心としたのでOD=OEとなり、△ODEも直角二等辺三角形だと分かる。
よって、OE=√2OD=8となるので、点Eの座標は(0,8)が正解となる。

問3②:操作1,2に続けて操作3~9を行ったときの△AOBが移動し、塗りつぶした面積を求める問題です。
【・答え「8π+4」】

図のように考えると求めるべき面積は
半径DG、中心角∠ODE=90°のおうぎ形の面積から、半径DA中心角90°のおうぎ形の面積を引いた面積に△EXYの面積を足せば求まると分かる。
DGの長さはDBの長さと等しくなるので、DG²=DB²=40である。また、DA²=8、△EXY=△OABから、
求める面積は、40π×90/360-8π×90/360+4×2÷2=8π+4となる。

大問6:法則性を問う問題

図1のように1辺1cmの立方体の3つの面に5,a,bを描き、それぞれ向かい合う面には同じ数を描いた立方体Xを用意します。この時a+b=10,a<bとなる自然数とします。
1目盛り1cmの方眼紙を、図2のように縦(2x+1)cm,横(2x+2)cmの長方形切ったものを長方形Yとし、長方形Yの左上端のマス目をP,Pの右隣のマス目をQとします。この時xは自然数とします。
長方形Yを用いてルールに従って、立方体Xを転がしたとき以下の問いに答える問題です。

兵庫県特有の問題です。穴埋めで出題されることが多いですが、この年は穴埋めではないのでより思考力を問われます。

問1:標準問題

問1:立方体Xを、PからQまで転がして数を記録します。
問1①:a=3,b=7のときの立方体Xを、図5の長方形の上に置いて転がしたとき、長方形のマス目に記録された数を、解答欄に記述する問題です。
【・答え「Pから順に、5,3,5,7,5,7,3,7,5,7」】
図6をa=3,b=7として数字を変えるだけ。

問1②:立方体Xを、図5の長方形の上に置いて転がしたとき、長方形のマス目に記録された数の和が最も小さくなるa,bの値を求める問題です。

【・答え「a=4,b=6」】
考えられる組み合わせは(a,b)=(1,9)、(2,8)、(3,7)、(4,6)の4通り。この中で一番和が小さくなるのは(4,6)の時。

問1③:②で定まる立方体Xを立方体Zとします。立方体Zを、図2の長方形Yの上に置いて転がしたとき、長方形のマス目に記録された数の和が2020となるようなxの値を求める問題です。

【・答え「49」】
一般化すると、2x×a+(3x+1)×b+(3x+1)×5で表される。この式に代入すると答えが得られる。
※5をcとすると縦の和は2x×a+(x+1)×b+(x+1)×cとなり、横の和は2×{(x+1)×b+(x+1)×c}となる。4隅の2b+2cを除けば上式が得られる。

問2:発展問題

問2:問1③の立方体Zを、長方形Yの上に置いて、図7のように、PからQまで転がし、Qからさらに矢印の向きに転がして移動させていきます。長方形Yのすべてのマス目に数が記録されたとき、立方体Zを転がすことをやめます。xは問1③の値とするとき、最後に記載された数を求めるのと、その数の書かれたマス目の位置は何行目で何列目かを求める問題です。
【・答え「記載された数:5、位置:50行目51列目」】

まず、最後に記録された数の書かれた位置を考える。
長方形Yの縦と横のマス目の数はそれぞれ99個と100個である。
長方形を1周するごとに縦と横のマス目の数は2ずつ少なくなる。
99÷2=49あまり1より、立方体Zを49周すると残りのマス目は縦が1個、横が2個になる。
よって位置は50行目51列目となる。
次に、縦の列の法則性を見ると4の倍数ごとにパターンが変わることが分かる。
縦パターン1を「5と4」が出るもの、パターン2を「6と4」、パターン3を「6と5」、パターン4を「4と6」とすると、51÷4=12あまり3よりパターン3だと分かる。
同様に横の行の法則性を見ると2の倍数ごとにパターンが変わることが分かる。
横パターン1を「5と6」がでるもの、パターン2を「4と5」がでるものとすると、50÷2=25あまり0よりパターン2だと分かる。
これらより、縦と横で一致する数字が答えとなるので5である。

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