【国語】徒然草

皆さん突然ですが、『徒然草』読めますか?
とても難しいですよね。
これで『つれづれぐさ』と読みます。


前回紹介した『枕草子』と同様に、必ず学習する作品です。
分かりやすく現代語訳と解説をしていきますので、授業や定期テストの対策にご活用ください。
「仁和寺にある法師」「ある人、弓射ることを習ふに」係り結びについても紹介しています

マンガであらすじを簡単に理解しちゃいましょう!

目次

1.徒然草とは

さて早速ですが、今回の題材である『徒然草』を見ていきましょう!
まずは、徒然草の特徴を説明します。テストに頻出なのでしっかり確認しましょう!

基本の暗記!

  • 作品名:徒然草(つれづれぐさ)
  • 作者: 兼好法師(けんこうほうし)
  • ジャンル: 随筆
  • 時代: 鎌倉後期
  • 特徴:当時の日本人の考え方である「無常観」を表現

徒然草の特徴

先ほど述べたように、『徒然草』と書いて『つれづれぐさ』と読みます。
漢字は書いて読めるようにしておきましょう。

作者は 兼好法師という男性です。
この方は、和歌を詠むことや詩を作ることも上手な人で、頭が良い方でした。

徒然草は、枕草子と同じ随筆というジャンルです。
随筆は作者が自分の体験をもとに書いた話です。
その時の感想や考え方をまとめています。

成立した時代は 鎌倉後期です。

徒然草では、同時の人の考え方が大きく反映されています。
そのため、これを読めば、当時の人の考え方が分かると言われ、後の時代でも多く読まれました。
具体的には無常観という考え方がよく表れています。
無常観が鎌倉時代のころの日本人の考え方です。

テストによく出る! 「無常観」ってなんだろう?

  • ずっと変わらないでいるものなんてない
  • どんなに栄えているものも、いつかは滅びるときがくる

というような考え方のことです。

要するに、「ずっと同じままのものはないし、今は良く見えてもいずれは悪くなる」という世の中のすべての物は変化しているのだという考え方です。
抽象的で分かりづらいと思いますが、作品を読み進める中で理解することができるので安心してください!

2.つれづれなるままに

では早速、『徒然草』の最初の段を見ていきましょう。

歴史的仮名遣い

つれづれなるままに、
日暮らし、硯(すずり)に向かひて、
心にうつりゆく よしなし事を、
そこはかとな
書きつくれば、
あやしうこそものぐるほしけれ。

現代仮名遣い

つれづれなるままに、
日暮らし、硯(すずり)に向かいて、
心にうつりゆく よしなし事を、
そこはかとなく
書きつくれば、
あやしゅうこそものぐるおしけれ。

現代語訳

(することがなく)退屈なので暇にまかせて、
一日中、硯と向かい合って、
 心に浮かんでは消える、たわいもない事を、
とりとめもなく
書きつけてみると、
変におかしな気分になってくる。

この場面での重要語句

  • つれづれなり→退屈だ
  • 日暮らし→一日中
  • よしなし事→たわいもない事
  • あやしうことものぐるほしけれ→変におかしな気分になる

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3.仁和寺にある法師①

次は法師についての話を見ていきましょう。
この話は意味が分かると、「ああ、かわいそう」ってなるはずです。

あらすじをマンガで確認!

あらすじをマンガで簡単に把握しちゃいましょう!

では、実際の文章を①と②に分けて解説します。

歴史的仮名遣い

仁和寺(にんなじ)にある法師、
年寄るまで
石清水(いわしみず)を拝まざりければ、
心うく覚えて、

あるとき思ひ立ちて、
ただ一人、
徒歩(かち)より詣でけり。
極楽寺・高良(こうら)などを拝みて、
かばかりと心得て
帰りにけり。

現代仮名遣い

仁和寺(にんなじ)にある法師、
年寄るまで
石清水(いわしみず)を拝まざりければ、
心うく覚えて、

あるとき思い立ちて、
ただ一人、
徒歩(かち)より詣でけり。
極楽寺・高良(こうら)などを拝みて、
かばかりと心得て
帰りにけり。

現代語訳

仁和寺にいる法師が、
年をとるまで
石清水八幡宮をお参りしなかったので、
法師は残念に思って、

法師はあるとき思い立って、
ただ一人で、
徒歩でお参りした。
極楽寺・高良神社をお参りして、
「これだけ」と思い込んで
帰ってきた。

の場面での重要語句

  • 心うし→残念だ
  • 「徒歩」の読み方はかち

何が起こっているの?

現代語訳はわかったけれど、「どうゆうこと?」ってなっている方が多いでしょう。
状況を説明します。

極楽寺・高良神社・石清水八幡宮の位置関係がカギを握っています!
極楽寺・高良神社は山のふもとにあり、
石清水八幡宮は同じ山の上にあります。

 文章の通り、仁和寺にある法師は、石清水八幡宮にお参りしたいと思い行動しています。
しかし、彼は山のふもとにある極楽寺・高良神社しかそこにはないと勘違いして、
極楽寺・高良神社だけをお参りして帰ってきてしまいました。
そのため、山の上にある石清水八幡宮にお参りできなかったのです。
つまり、本来の目的は達成できていないのです。

はたして彼は何をしに行ったのだろうか、というお話です。
では、続きを読みましょう!

4.仁和寺にある法師②

歴史的仮名遣い

さて、かたへの人にあひて、
年ごろ思ひつること、
果たしはべりぬ。
聞きしにも過ぎて、
尊くこそおはしけれ。

そも、参りたる人ごとに
山へ登りしは、
何事はありけん、
ゆかしかりしかど、
神に参るこそ
本意なれと思ひて、
山までは見ず。」
とぞ言ひける。

少しのことにも、
先達(せんだち)はあらまほしきことなり。

現代仮名遣い

さて、かたえの人にあいて
「年ごろ思いつること、
果たしはべりぬ。
聞きしにも過ぎて、
尊くこそおわしけれ。

そも、参りたる人ごとに
山へ登りしは、
何事はありけん、
ゆかしかりしかど、
神に参るこそ
本意なれと思ひて、
山までは見ず。」
とぞ言ひける。

少しのことにも、
先達はあらまほしきことなり。

現代語訳

さて、法師は仲間に向かって、
長年思っていたことを、
果たしました。
聞いていたのよりもずっと、
石清水は尊い感じでいらっしゃった。

それにしても、参拝に来た人々が、
山へ登っていったのは、
何があったのでしょう。
私は知りたいと思ったけれど、
神にお参りすることが
本当の目的だと思って、
山まで見ませんでした。」
と言った。

ちょっとしたことにも、
先導者はあってほしいものである。

この場面での重要語句

  • 年ごろ→長年
  • ゆかし→知りたい
  • 本意なり→本当の目的だ
  • あらまほし→あってほしい

豆知識! 「ゆかし」の意味

  • 見たい
  • 知りたい
  • 聞きたい

この3つの意味から、文脈に適したものを選びましょう!
今回は「知りたい」が適しています!

何が起こっているの?

①の流れから読み取れば、状況を掴むことが出来ますね!

実は石清水八幡宮にお参りできていない仁和寺の法師が、そのことに気づかず、
石清水八幡宮にお参りしたと仲間に報告しています。
そこで、「なぜ他の人は山に登っていくのだろう」と疑問を持ったよというエピソードを話しています。
その他の人たちが向かう先が、本当の石清水八幡宮であったのだが、
それを知らない法師は、本当の目的を果たしたと思って、山を登らず帰ってしまったのです。

締めくくりとして、作者のコメントが入っています。
先導者、つまり先を導く者の存在はあってほしいと表現しています。

では最後にまとめます。

テストによく出る! 「仁和寺にある法師」のポイント2つ


①法師のミス
仁和寺の法師が石清水八幡宮と思ってお参りしたところは、手前のお寺と神社(極楽寺・高良神社)だったこと。

②教え
少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。
(ちょっとしたことにも、先導者はあってほしいものだ。)

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5.係り結び

係り結びは有名な古文表現です。
今回の徒然草や、竹取物語など多くの古文作品に登場します

係り結びって?

係り結びとは、文の途中の「係助詞」に合わせて、文の終わりの単語が、特別な形になることです。
これによって、文の意味が強調されたり、疑問の意味を持たせたりすることができます。

具体的な「係助詞」と「文末の単語の形」を見ていきましょう。

係助詞なむこそ
文末の単語の形 連体形連体形連体形連体形已然形

難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと、
「ぞ・なむ・や・か・こそ」が出てくると文末の単語の形が変わるということです。

係り結びの例

具体的に係り結びになっている文章表現の例を見ていきましょう。

  • さぬきの造となむ言ひける
  • 死にけむこそあはれなれ。

係助詞に合わせて、文末の形が変化しているのが分かります。
もし係助詞が無かった場合、以下の表現になっていました。

  • さぬきの造と言ひけり。
  • 死にけむは、あはれなり

こんな風に、「ぞ・なむ・や・か・こそ」には注意して見ていく必要がありますね!

6.ある人、弓射ることを習ふに

では、もう一つ別のお話を見ましょう。
このお話も現代に通じるような「教え」を、エピソードを交えながら紹介しています!

歴史的仮名遣い

ある人、弓射ることを習ふに、
諸矢(もろや)をたばさみて、
的に向かふ。

師の言はく、
初心の人、
二つの矢を持つことなかれ。
後の矢を頼みて
初めの矢に
なほざりの心あり。
毎度ただ得失なく、
この一矢に定むべしと思へ。
と言ふ。

わづかに二つの矢、
師の前にて、
一つをおろそかにせんと
思はんや

懈怠(けだい)の心、
みづから知らずといへども、
師、これを知る。
この戒(いまし)め、
万事(ばんじ)にわたるべし。

現代仮名遣い

ある人、弓射ることを習うに、
諸矢(もろや)をたばさみて、
的に向こう

師の言わく
初心の人、
二つの矢を持つことなかれ。
後の矢を頼みて、
初めの矢に
なおざりの心あり。
毎度ただ得失なく、
この一矢に定むべしと思へ。
と言ふ。

わづかに二つの矢、
師の前にて、
一つをおろそかにせんと
思はんや。

懈怠(けだい)の心、
みずから知らずといえども、
師、これを知る。
この戒(いまし)め、
万事(ばんじ)にわたるべし。

現代語訳

ある人が、弓を射ることを習う時に。
二本の矢を手にはさんで、
的に向かった。

師匠が言うには、
初心者の人は、
二つの矢を持ってはいけないぞ。
その理由は後の矢を当てにして
初めの矢の時に、
いいかげんにする心が起こる。
毎回当たりはずは考えず、
この一本で決めよう!と思いなさい。
と言う。

ところで
たった二本の矢の内、
師匠の前で、
一本目をおろそかにしようと
思うだろうか。(いや、思わない。)

怠けようとする心は、
自分自身が無いと思っていても、
師匠にはこれが分かる。
この教えは、
あらゆることに通じるだろう。

この場面での重要語句

  • 頼む→当てにする
  • なほざり→いいかげん
  • 思はんや→思うだろうか。いや、思わない。(反語)

テストによく出る! 「ある人、弓射ることを習ふに」のポイント2つ

①反語
重要語句でも紹介した「思はんや」は、疑問ではなく、反語です。
周囲に答えを聞くための疑問形ではなく、
作者自身がすでに答えを持っており、
普通よりも強調したいためにこの表現を利用しています。


②教え
怠けようとする心は、自分自身が無いと思っていても、心のどこかに起こってしまうものであるということ。

『徒然草』は理解できましたか?
伝えたいことや教え、エピソードが明確で面白い作品ですよね!
作品の特徴や重要古文単語など、暗記すべきこともしっかりと覚えましょう!

この記事を書いた人

家庭教師のやる気アシスト編集部

家庭教師のやる気アシスト編集部は小・中・高校生のお子さんを持つスタッフばかり。わが子の勉強に悩む当事者として、勉強のコツや不安など当事者の目線で記事にしています。
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